第13話

大晦日…丁度20時を回った頃に有未さんから連絡がきた。


「優希君今からそちらに向かいます☆」

「了解であります☆」


クリスマスもそうだが、初詣なんて家族以外に誰かと過ごした事はなかった。本当に初々しい気持ちでいっぱいだ!!


「お待たせ〜☆」


いつも通りの私服で、僕たちは近くの公園で落ち合った。やはり大晦日という事もあり、公園ではお酒を呑んだり花火をする人もいてお祭り騒ぎだった。


神社まで徒歩で向かい、途中の出店でイカ焼きや、じゃがバターなどを食べ歩きながら楽しんだ!


そして…24時の時刻と共に


「ハッピーニューイヤー☆」

「新年明けましておめでとうございます!」


異文化の交流のような挨拶で新年を迎えた!

去年は色々あったけど、こうやって楽しい一年が幕を開けたのだ。


「優希君。今年も一緒にいようね☆」

「こちらこそ!今年もよろしくです☆」


カップルとして当たり前のように手を繋ぎ、2人で帰路についていた。深夜2時とはいえ初詣に向かう人も多かった。


「おーい有未!!」


前方から中年男性の声で有未さんを呼ぶ声が聞こえた。有未さんは聞き覚えのある声だったのか辺りを見回し…


「お父さん!あっお母さんも!!」


目の前に姿を表したのは、有未さんのご両親だった!!?気まずい…手を繋いでいるぞ僕は!?コレは一大事だ!!咄嗟に何か言うと考えた僕は緊張しながらもご両親に挨拶をした。


「あっしっ新年明けましておめでとうございます。はじめまして上条です!!?」


かなりテンパっていた…無理もない、ご両親の目の前で手を繋いで歩いているのだから、羞恥心も生れる…


「上条君か…明けましておめでとう。有未のお友達かな?」


ご家族揃って天然ぶりが発揮された瞬間だった…


「あなた…有未の彼氏に決まってるでしょ」


お母様のど正論なツッコミも、それはそれで堪えるものだ…なんか悪い事してしまった気分である。


「若い子達を茶化しちゃいけないわよ。それじゃね有未☆」


なにこの聖母マリア!?お母様最高!!ありがとう神様!ありがとう…


「じゃ〜ね☆」


とりあえず一難が去った。

ホッと一息付いた矢先、有未さんからのダイレクトアタックが飛んでくる…


「いつウチの両親に挨拶いく?」

「今は余計な圧掛けないで!!?」


本当に心臓に悪い1日だった。

この後、その足で僕の家に行く事になった。

よくよく考えてみたら、僕の両親にはまだ有未さんの事を伝えていなかったが…まぁ大丈夫だろう。確実に茶化されるが…


「ただいま」

「お邪魔します☆」


と、早速母さんの登場だ!!

「あら、おかえり…お友達?」


何かデジャブしているが…有未さんは間髪入れずに母さんに挨拶を始めた!?


「お母様!初めまして!おめでとうございます!彼女です☆」


言いたい事は大体理解出来るが、色々と滅茶苦茶な日本語が飛んで来た…


「まぁ!初めての母です!よろしくどうも!!」


母さんまで言語障害を起こしてきた所で、とりあえず有未さんを僕の部屋に案内した…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る