第12話

「なんだお父さんか?どうしたの?」


「会社の資料を忘れたんだ。急いで来たら車に家の鍵忘れてな。」


「資料ってこの靴箱のコレ?」


「そうそうソレだ!ん?誰か来てるのか?」


「そうだよ☆友達が遊びに来てる!!」


「そうか。あぁ…そろそろ行くな。鍵よろしく」


「はーい!」


部屋にいた僕は、うっすら聞こえる会話を耳にした。来客は有未さんのお父さんだったのか。足音が近づき有未さんが部屋に戻ってきた。


「ごめんね。お父さんだった!」

「お構いなく!お父さんって普段は家に帰らないの?」

「う〜ん…いつも夜遅いか朝帰りだからあんまり家にいないかも?」

「そうなんだね!そういえばお母さんは?」

「お母さんも仕事でしょっ中いないよ!」


ご両親ともに仕事が忙しいんだな…今時珍しくもないが、1人娘を家に留守番させるのも少し危ない気がするが、有未さんもいい歳だから問題ないのだろう。


クリスマスの話題ではないが、改めてお互いの親族について語り合った。


「優希君のお父さんお母さんはどんな感じなの?」

「う〜ん。母さんは確かテレアポのパートで親父は…何か中小企業のリーマンって聞いたなぁ確か?」

「ふ〜ん…お母さんテレアポなんだ?何て会社名なの??」

「えっと…確かぁテルルみたいな名前だったような…」

「あ!ここから15分くらいの所でしょ!?」

「確かそうだったはず…って詳しいね!」

「就活中は色々調べたからね☆」


以前と比べ、会話がポンポンと弾むようになり有未さんとのお喋りが楽しかった!!

気付けば時間は22時を回っていた。


「優希君。私お風呂入ってくるね☆」

「えぇ!?あ、はい!!」


何を期待し、動揺したのか急に羞恥心が込み上げてきた。情けない男です僕は…


「お風呂覗いたら口聞かないからね☆」

「はい…」


ダメ押しの有未さんからの死刑宣告は、僕を狼にする事を禁じました 笑


待っている間に、改めて有未さんの部屋を見渡した。綺麗に整頓されていて、しっかりした気立の良い娘さんだ!机に置いてある写真たてには、小さい頃の有未さんと同い年の子達が数人写っていた。

小物入れには1枚のプリクラが貼ってあり、写っているのは恐らくご両親だろう。


「昔から可愛かったんだなぁ…」

「それはどうもありがとう☆」

「ぎゃああぁぁぁ!!?」


1人でいるはずの部屋で、後ろから声がしたので思わず奇声を上げてしまった!!?


「人の部屋物色するなんて趣味悪いぞ☆」

「ごっごめんなさい…」

「パンツの匂い嗅いでたでしょ?」

「そんなことするかぁぁ!!?」


そして、僕たちは楽しいクリスマスを過ごした。次なる冬休みのイベントは…初詣という事で大晦日に会う事にした。

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