第10話
僕と有未さんは面談結果の入った封筒を目の前に固まっていた…
前回は「勝ち確です」なんて言ってしまったが、万が一落ちてたらと思うと、中々開ける勇気が出ない。
「今回は優希君が開けて下さい…」
なんでこの人重大なミッションを僕に押し付けた!?しかもいつになくシリアスに…とはいえ、開けない事には始まらないと思い、僕は封筒に手を伸ばした。
ゆっくりと封筒の封をちぎり、中を確認すると2枚の用紙が入っていた。2枚?おかしいな…2枚も入れる必要があるのか…?
この時、僕は2枚目を先に確認しようと考えた。理由は簡単だ…これが「会社案内」なら「リーチ」という事だからだ!?
「オレのターン!!ドロー!!!」
「オレは手札から会社案内のカードを特殊召喚!!」
「勝利のピースは全て揃ったぜ!!」
「ゆっ、優希BOY!!?」
「ふんっ、貴様に良いものを見せてやろう…会社案内のカードを生贄に捧げる!!」
「What!!?」
「おめでとう…神のカード!!合格通知を召喚!!君の勝ちだぜ有未さん!!!」
テンションが馬鹿になり過ぎて、何処ぞのカードゲーム感覚で合格通知をお伝えした。
「ありがとう…優希君」
有未さんは泣きながら笑っていた。
僕も心の底から嬉しいと感じている。
「本当におめでとう!良く頑張りました!」
「優希君のおかげ…」
これで僕たちは晴れて社会人になれたという事だ。こんなに嬉しくて楽しい日は人生でも滅多にないだろう。そんな有未さんも泣き止んで落ちついたのか、僕に語りかけてきた。
「優希君…ところで私といつ付き合ってくれるの?返事貰ってないけど」
…はっ?何の話だかさっぱりな僕は…
「ん?んん?僕はいつ告白されたの!?」
不思議そうな顔をする僕に、有未さんはムスッとした顔で答えた。
「この前結婚して下さいって言ったでしょ!!」
「それプロポーズな!!!?」
またしても迅速な対応をしてしまったが、アレが有未さんの告白だったのか…でも今の僕は不思議な感覚で、恥ずかしいとか緊張感もなく自然と返事を出せた。
「はい!僕の彼女になって下さい☆」
有未さんも自然な笑顔で…
「はい!私の彼氏になって下さい☆」
こうして僕たちは「未来」と「恋人」を掴む事に成功した。
そして、お付き合いをしてから初めてのクリスマスがやって来た。
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