第6話
今日は有未さんと会う約束の日。
初めて会った日からまだ一月も経っていないのに、懐かしい感じがする。
学校終わりの僕は、その足で待ち合わせ場所の駅前に向かった。距離は学校と左程遠くはないので、予定よりも20分早めに着いた。
と、さすが有未さん!もう到着しているではないか。久々の再会に何と声掛けて良いのか分からない僕に対して、先制攻撃は有未さんからでした。
「優希君!待たせたな!!」
漢気溢れるメッセージに苦笑いの僕。
「お待たせしてしまったな!!」
中途半端な漢気トークに、有未さんはニヤニヤしながらこう語る。
「久々の美女に感動していたな!」
「うん!本当それな!!」
レスポンス命の僕が、反撃に出た!!
が…この返答、よく考えたらとても恥ずかしい事に気が付いた!?
有未さんはキョトンとした顔で僕を見つめる。
「君はそんなキャラかね優希君?」
ここまで来たら引っ込みがきかない僕は思わず有未さんに言ってしまう…
「有未さんが可愛いのは…本当」
何をやっているんだ僕は…こんなこと言ったら引かれるだろ普通…
有未さんは僕に近づき、両手で僕の両肩に手を乗せる…
「君も…漢になったんやな…」
何で関西弁かは不明だが、とりあえず嫌われてはいないようだ?
「それでは優希君!さっそくパクドナルドでバーガーを決め込もうジャマイカ☆」
相変わらず明るい有未さんだ!!
僕たちは近くのパックことパクドナルドに入った。
オレンジジュースとバーガー、ポテトも欠かさずにチョイス!これが高校生の決め込むである。
そんな決め込んでいる僕に、有未さんは思わぬ言葉を口にする…
「私、人と喋るのが苦手なんだよね…」
僕は唖然とした。
有未さんにとって1番似合わないセリフだからだ。いつも明るく楽しそうに話をする有未さんが、人と喋るのが苦手とは意外であった。
「無理に笑顔を作ったり、面白可笑しく話をしちゃうクセがあってね…面接に受からない理由もそれなんだよ…」
いつになく深刻な有未さんの声に、元気の二文字は消えていた。
僕はどうしても力になりたかった。
こんなに落ち込んだ有未さんは初めてだし、なんならこれが最後になって欲しいとさえ考えてた。もちろん僕の答えはこうだ!!
「有未さん…僕を言葉のサンドバッグにしてみないか?」
また僕は意味不明な事を言ってしまった…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます