第4話

僕は入社面接に合格してしまった。

このタイミングもあってか、本来なら大喜びする所だが…正直、素直に喜べない。


有未さんが落ち込んでいないにしろ、自分だけ合格してしまった事には罪悪感さえ感じている。


とにかく、今は有未さんの就職活動を応援し、お互いに晴れて社会人というストーリーが確実なハッピーエンドである!!

その為には、有未さんにさっさと就職出来るように促すのが先決…


「有未さんは他に受ける会社決めたの?」


何とも無難かつ、違和感の無い流れである。

有未さんの就職先さえ決まれば、僕の合格なんて大した事では無くなるからだ。


もちろん、有未さんからの返事はこうだ。


「もしかして優希君は合格したの??」


マジで君はエスパーなのか!?

今話したくない話題を、最も的確に当ててくるではないか。何か僕が送った文面にヒントが隠されていたのか?とにかく有未さんに勘づかれないように急いで返信する。


「まだ合格通知は来てないかな」


その場凌ぎの嘘をついたもののアプローチは弱い…立て続けに僕は次の面談の話を持ち掛ける。


「僕はCBAコーポレーションも受けてみようと思うんだ!」


大手広告代理店の名前を出して意欲を出して貰う作戦に出た。有未さんもこれには反応してくれた。


「私もそこ受けてみようかな!!」

「あと、優希君にお願いがあるの」


有未さんから改まったお願い。

勉強を見て欲しいのか?

面接の練習をしてほしいのか?

職場情報が必要なのか?

僕なりに考えた答えはこんな感じだが…流石は期待のルーキー有未さん!

質問のスケールが人一倍違うのだ!


「寿退社した後の花嫁修行がしたいから手伝ってほしいの…☆」


こんな おめでたい人 は中々いないでしょうね。僕は苦笑いでOKの返事した。


そして…僕たちは2社目の面談に挑む!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る