第3話

突然すぎる残念な知らせ。

確実に有未さんが落ち込んでいると思った僕は、何かいい返事を返したいと考えた。


だが人間面白いもので、いざという時に適切な言葉が出てこない…本当に何もしてあげられないと心底自分が情けなく思えた。


もし逆の立場だとしたら、有未さんなら僕に何て言ってくれるのだろうか…考えた末に出た言葉はこれだ。


「今から少しだけ会えない?」


落ち込んでる人に対して、僕が出来る事なんてないけど、せめて隣にいてあげる事くらいは出来る。

それが何の役にも立たない事も理解しているが、いつも明るい有未さんがまた元気になってくれるなら何でも良い。

有未さんからの返事はこうだ…


「今お風呂です」

「了解!!」


レスポンスは良かったがタイミングが悪かったようだ。お風呂に入った後に呼び出すのも悪いので、とりあえず有未さんの返信を待った。考えたらまだ2週間程度の付き合いで、少し大胆な事を言ってしまったと後悔している。


20分程経過…有未さんから返事が届いた。


「優希君家のシャンプーはポンテーン使ってる?」


有未さん…あんたって人は凄いな。もう落ち込んではいないのか!?


「そういえば、さっきなんで私に会いたいって言ったの??」


僕が隣で慰めてあげたかったからさ!なんて言える訳がないだろ!?えっ?何!?急に自分のした事が恥ずかしくなってきた。


「もしかして、私を慰めてくれようとしてたとか??」


やめろっ!?抉るな!!傷を抉るな!?

言い訳を考えながら文字を入力している間に、有未さんのジャブの連打が僕を襲う。


「お前も弱いところあるんだな☆」

「俺が包み込んでやるぜ☆」

「お前に涙は似合わないZE☆」

「こういうカッコいいセリフを私に言いたかったとか??」


やめろおぉぉ!!?この人から悪意を感じるぞ!!完全に遊ばれてるぞ僕は!?

こんなくだらない文章のやり取りを一通りした時、僕の部屋に母さんが入ってきた。


「あんた面接の合否きたわよ」


このタイミングで合否の結果が来るとは…何とタイミングの悪いこと…とりあえず気になるのでビリビリと封筒の封を開けた。

紙にはこう記載してある…


「上条優希殿 今回の面談の結果、採用とさせて頂きます。また入社希望の場合は再度人事担当者までご連絡願います」


僕は合格してしまった。

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