第2話

有未さんと電車で出会ってから2週間が経った。

あの日僕は、連絡先を交換…いや強制的にスマホを有未さんに取られ、連絡先を追加させられたのだ。

初対面とは思えない行動力に僕は唖然としていたが、それ以上に…有未さんに少し憧れを抱いていた。僕には持っていない積極的な姿勢を目の当たりにし、尊敬していたのは事実だ。


と、早速噂の有未さんから連絡が…


「優希君はいつもどんなエ○ビデオ観てんのー???」


…さっきの憧れは取り消しだ。この子はマジで規格外のバカなんだと思った。とりあえず、僕は当たり障りのない返信をする。


「そんな事言える訳ないでしょうがー!」


すぐに有未さんから返信…


「了解!とりあえず毎日観てるの確定ね!サンキュー☆」


この後、僕は何も返しませんでした…

了解?確定?サンキュー?いやいや!?この子は僕から何が聞きたいんだ!?

連絡先を交換してから毎度、意味のわからない文章が送られてくる。

この前も意味深な文章が送られてきた。


「優希君はお父さんの指とお母さんの指、どっちなら食べられる??」


19時過ぎの夕飯時に、この文章は食欲が失せたものだ…さすがの僕も真面目に返信した。


「あの…今ご飯食べてるんですけど…」


有未さんは、何でこんな質問を僕にしたのか分からなかったけど、単純にアニメや漫画の見過ぎなのかと思っていた。


「ごめんね…君の大好きなウインナーにご冥福をお祈り申し上げます…」

「お祈り申さないで!!!」


僕はまた思わずノリ、ツッコミをしてしまった。もちろん有未さんはご機嫌のようで…


「そのレスポンスが君の最大級の取り柄です☆」


有未さんに何故か褒められた?

こんなバカなやり取りを、ここ2週間は続けている。

本人が楽しいならそれで良いのだが、もう少しまともな文通もしたいものだ。

そしてようやく、まともな文章が届いた。


「会社落ちました」


うわぁ…面倒くさいパターンのやつ来た…

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