僕と私が初恋を失った日
ゆ〜か
第1話
「次の方どうぞ」
「失礼します!!」
「お席にお掛け下さい。それではお名前と学校名をお願いします」
「はい!神奈川公立最南高等学校の 上条優希 と申します!!」
僕は3人の面接官の前で、多度多度しい敬語を使いながら入社面接をしていた。
緊張のせいで、何を喋っているのか殆ど覚えていないが、自分の精一杯の頑張りをぶつけられたのは確かだ。
40分近く掛かった面接は無事終了し、ホッと一息ついたのは帰りの電車の中だった。
この電車、普段は座れないのだが平日14時の車内はガラガラなのだ。疲れきった僕は背もたれに寄り掛かりながら目を閉じた。
「君、さっき面接に来てた子だよね?」
急に隣から女性の声が聞こえた!?
隣には誰もいないと思っていたので慌ててしまい、とっさに出た僕の答えはこうだ…
「おっ!仰る通りですっ!!」
車内は静まった…
「あの〜もう面接は終わったよ…?」
我に帰った後の恥ずかしさは、さっきの面接の比ではなかった。
この声の主は、僕と同い年くらいの制服を着た女の子だった。とりあえず謝った。
「なんか、すいません…」
「別に謝らなくていいよ。驚かせてごめんね」
さっき面接がどうとか聞こえたので僕は改めてその子に問いかける。
「君も今日面接とかだったの?」
「そうだよ!ってか、さっきまで同じ面接会場にいましたけど??」
同じ面接会場にいた?僕は本当に覚えていなかった。
緊張して周りが見えていなかったのだろう…
「それは失礼しました…」
今日は謝ってばかりだなと、我ながら情けない気持ちだ。するとその子は不機嫌そうな顔で僕に…
「別に謝らなくていいけど、いい加減さぁ…敬語やめてくれる!?他人みたいじゃん」
「いや、他人です」
お笑いのノリ、ツッコミのスピードで僕は 他人です を言ってしまったのだ。それと同時に僕は相手を怒らせてしまったと思っていた。ところが、その子の反応は違った…
「ウケる!正解!正論!!君面白いね!?」
何故か女の子には好印象でした。正直怒らせて嫌われたかと思っていたけれど 無問題 です。そして、その子はニヤニヤしながら…
「君は私のお友達になりました!!」
…意味はよくわからないけどお友達になったという事で僕は理解しました。
「よっ、よろしくどうぞ」
「私は有未(ゆみ)!よろしくぅ〜!!」
「有未さんね、僕は優希です…」
この時はまだ、この子が僕の初恋になるとは思ってもいませんでした。
そして僕が…「この子と出会ってはいけない運命」である事も…
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