第12話 リジャと吸血鬼姫

ののはな亭の奥深い場所 建物の中 人工の灯りが差し込む お花が沢山ある 

綺麗な中庭に小さな噴水 大きな部屋のガラス窓の扉が開いていた

花々はたった一人の為に 綺麗な花 咲き乱れて・・


のほほん のんびりしている一人の11歳前後の女の子がいる

「もうすぐ ようやく ご飯ね うふ」

今日の気分は和風らしく 着物をアレンジした可愛いフリルのゴスロリ服

長い髪に青い瞳 時折、金色に輝く 綺麗な面立ち

大きな部屋には 綺麗なクッションが沢山あって 大きなベットでくつろいでいる


傍にあるテーブルに置かれた赤い液体の飲み物を再びストローで飲む

「ぷはあー」可愛い女の子


「また、ダンジョンに行くかな でも、その前にご飯よ ご飯」

「まだかしら まだかな まだかな~」グーとお腹も鳴っていた


すると中庭の奥から人影が現れ 


ゆっくりと歩いてくる 沢山の食事に

それら、食べ物を運ぶコロボックルもついて来ていた 料理が乗ったワゴンの小気味よい音

他にも鳥籠 籠の中には生きた鶏(にわとり)


「お待たせしました 主(あるじ)シャラ姫様」リジャ


「うふん 待ったわよん」かぷっとリジャの手に噛みつき 血を啜る

ちゅううううう~~~

ち、ち、ちゅううううううう~~~んん

「あの、俺じゃなく その鶏の生きたのを・・」「・・聞いていませんね」

ため息をつくリジャ 

「あ~美味しかった うふ」「毎回ですが俺を襲わないで欲しかったですね」リジャ


「リジャって 不思議ね かなりの量を飲んだけど 平気でしょう?

普通なら 死んでいるかも知れないだけど 味も美味」

再び 軽くため息をつくリジャ

「ちょっと頭は痛いですけど 平気ですね」「あ、生きた鶏(にわとり)」

「あ~はいはい どうぞ」リジャが差し出す


生贄の鶏(にわとり)が暴れているが シャラは 嬉しそうに鶏に噛みつき 

あっという間に 鶏はミイラ化してしまう


「うふ 美味しかった」「良かったですね」「他のご飯は?」

ニコニコとリジャを見るシャラ姫

小人のコロボックル達が持ってきた料理を並べていた


くすっと笑うリジャ 「ふふ 可愛いシャラ姫さまの為に 真心で作ったものですよ」


「サラダに盛り付けた 人食い大魚のカルパッチヨ 巨大な2キロの肉の塊が入った

ビーフシチューもちろん、シチューには人参、ジャガイモ、玉ねぎも沢山

マフィン、マフィン用のジャムやバターのフォイップ」

「他にも羊の丸焼き チキンライス・・」「野菜たっぷりのミルクシチューですね」

「人参とアスパラガスのチキン巻きです」


「デザートはモンスターの生き血で作ったゼリー 蜂蜜入りのチーズケーキ 

果実のザクロ」量は大量 少なくとも5,6人分以上はある いや10人分以上かも


「おにぎりは?」「はい、ありますよ 10個で良かったですか」

「ええ」嬉しそうなシャラ姫

可愛い笑顔で なんだか 見ている方も嬉しくなる


「主(あるじ) シャラ姫さまは 今日もご機嫌 快調ですね」

「うふふ シャラでいいわよ リジャ」

「今晩は シャラねえ リジャの生き血も もっと欲しいなああ~~~駄目かしら?」

じっとリジャを見ている シャラ姫 愛らしい姿 おねだりモード


「あの・・・それは勘弁してください 鶏か兎を2,3匹用意しますから」

治癒魔法で自分の手の傷を癒すリジャ


「日光浴も兼ねて 森や海辺で散歩したい ふう」はぐはぐと食べながらシャラ

「また 日の光で 焦げますよ 火傷 いやでしょう」リジャ


「また 強化体質などの効果のある魔石が手に入るまで 待ってください」

リジャはシャラ姫をナデナデしながら言う


「・・うん、わかった」あっと言う間にあれだけの量の食事を食べてしまうシャラ姫

「あ、楽器だ」リジャ

傍にあった楽器を手にするシャラ姫

リュートと呼ばれる楽器 他にも似た楽器でキタラもある


静かに楽器をつま弾くシャラ

心地よい音楽が流れる 気持ちよさそうにリジャもコロボックルも聞いている

静かで優し気なセレナーデ 

音楽が止まると リジャはまたシャラの頭を撫ぜる

「今日の曲も素敵でしたよ」「うふふ そうかな」「はい 素敵です」


「では また」「うん、わかった」曲も済み 食べ終え 

うとうと、すやすやとお眠なシャラ姫

「うん・・激可愛い・・」リジャ 何気に幸せそう 喜びを感じていいるようだった


シャラの服を脱がせて 寝巻を着せる 

なお、何故かシャラのパンツは カボチャ・パンツが多い

「何かこだわりがあるのだろうか?」リジャ


氷の魔石で動くミニ冷蔵庫に シャラの為に血液の瓶(鶏)を入れて補充しておく

甘い果実の飲み物も好きなので それも入れる


亡くなった『ののはな亭』の主人アモンドが恋した相手が 吸血鬼の少女シャラだった

ある意味 シャラの姿 幼い姿 対して店の主人は50歳だった

恋というには見た目には ちょっと問題だったかも知れない 

「・・・・・」


シャラはメイン・ギルド紅花の認定を受けた自由モンスター登録者で 今の店の主人という事になっている 一応だが・・


そっとシャラを抱きかかえ ベットに運び 風邪などひかぬように

蜘蛛モンスターの絹糸で織られた最上級の毛布をかける


すやすや お眠のシャラ姫が小さな声で「ご・・ご飯」「お腹すいた・・くうう~」

少し冷や汗のリジャ 「あれだけ食べたのに・・」


シャラは他の言葉も口にする

「・・・・・アモンド」「あ・・」

それは前の主人 ののはな亭の主の名前アモンド 微かに涙が浮かぶシャラ

頭をそっと撫でて 涙をぬぐい 立ち去る


廊下で・・・

「あ、ふらつく」リジャ 「大丈夫デスカイ?」コロボックル 「な、何とか」


「ふ・・ふふふ」リジャの自虐的な微かな笑い声

「まだ 仕事がある 主(あるじ)様 シャラ姫さまのご飯代の為にも頑張らねば・・」

店の売り上げの五分の一は シャラ姫の為に使われていた おもに食事代・・・・


それから厨房に戻り

鳥肝の甘煮、他の栄養食を口にするリジャ 身体に良い成分などを補給中

「また、血を吸われましたね? 大丈夫ですの」アル


「あははっ 大丈夫だよ」リジャ 疲れたような笑い声


「私達は戦闘ヘルプの仕事が来ましたので 行ってまいりますわ」

「ああ、頑張ってくれ アル」「はい リジャさん」

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