直感で選んだ作品だったのだが、これは恐るべき先見性とセンセーショナルさを併せ持つ快作である。
タイトルの通り、爽やかに下着の色を言い当てる少年が主人公となるのだが、果たしてその技能を以て何を為すのか。
……決まっている。日本の改革だ。
下着とは「下に着る」と書いている通り、通常、決して見えることはない麗しの桃源郷である。
見えることがないものに、果たして人はなぜ固執するのか。そこに世間体や体裁というものを越えた、人心が存在するからである。
着る者の意識、または無意識が紡いできた歴史。それが下着の色に現れてくるということだ。それを少年は慧眼で見透かしてゆく。
人に見せることのない、できない、影の部分を優しく許容されるというのは、その人にとってどれだけの安心をもたらすだろうか。
言い当てられた者は、彼の中にある未曾有の包容力によって虜になっていくのだが、無理からぬことだろう。
時代は流れ、ともに人心……下着も変わってゆく。この不安な時代、多くの課題が人心を曇らせている。
彼の曇りなき眼こそが必要なのだろうなあ、と我ながら上の空であった。
「膨大な経験と思考。その縮約として得られる言葉にできない直観を通して――パンツの色は見えてくるんですよ」
世界よ、誇るがよい。これが新たな時代を築く日本男児の台詞である。