1章2話 唸れ! 俺の豪運!
さてと、ここからは本命、明らかに回せと言わんばかりのスタートガチャを回すぞ。スタートというだけあって無料のようだし十一連も引ける。何よりも説明を見て一番に惹かれるのはUR確定、SSR以上の排出率五倍とか書かれているのがヤバい。上がった分はCの排出率が下がるようだし回さない理由がないな。
早く回そう、心臓が早鐘のようになっている。
これでURが一個だけで他が全部Cだったら……その時はミカエルにクレームだな。幸運を上げた理由の一つが無くなってしまったわけだし。でもなぁ、割と有り得るんだよなぁ。固有スキルって書いてある分だけステータスとの関わりが無い可能性もあるからさ。まぁ、その時は野となれ山となれか。それに最低保証がある分だけまだ良心的だよな。
いざゆかん! 死ねば諸共よ!
タップして回す。演出は飛ばしたけどURが来たからか画面が止まった。回そうとした時にガチャ機自体が金色に染まっていく。一回転で玉が出ていたのに回転数が一回とか二回では済まなくなっているな。グルグルグルグル回って勢い良く十一個の玉が出てきた。
良かった、最悪な結果は免れている。
最高レアの金は二つで、他は黒が三つ、赤が一つ、青が二つ、白が三つだ。もう一回タップしてっと、金に関しては開く時も演出があるみたい。ピカって一瞬だけ眩しくなる。結構な明るさだったから、これで気が付かれないってことは他人のステータスは開いていても見れないのかもしれないな。
金から出たのは指輪と黒のローブか。
これも能力を見ていないから何とも言えないけど最高レアリティだからね。並大抵の能力ではないことだけはよく分かる。それにやっぱり黒のローブとかは厨二心を擽られていいな。カッコイイだけではなく顔も隠せて一石二鳥だ。
次いで黒の玉を開けてみる。
ここから出たのは極って書かれた水色の玉が一個と赤い杖、そして白い玉だな。玉二つは見ただけでは分からないけど杖は使えそうだ。それこそ俺に魔法の適性があるのであれば使ってみるのもありかもしれない。前衛で戦うのは怖いからしたくないしね。
赤は……肉かな、骨が付いた美味しそうな肉。
これは食料として出たのか。もしくはゲームでよくあるテイムに使うことが出来るのか。城にいる間は飯に困ることも無いだろうし後者であった方が個人的には嬉しいな。……いや、食べたら強化が入る可能性もあるのか。ここら辺は受け取ってから確認だな。
それで青は……これは赤い石か。
どういう効果があるのか分からないから、これも受け取ってから調べるってことで。一番どうでもよさそうな白は……これはさすがに分かる。金貨が二枚、銀貨が五枚、最後は……青で出てきた石よりも赤みが強い石だな。見た目だけで一番に使えそうなものが白とは……。
まぁ、これで城を出て困ることは減ったかな。
すぐに出ていくのは出来ないけどね。俺自体が弱いから王国の勇者達の扱い次第では少しだけ残った方が良い時もあるし。例えば兵士を使って強化を図る可能性もある。後は逃げる時の逃走経路と巡回のペースとかもいるかな。
どちらにせよ、折角の異世界だ。
記憶も無いんだから生まれ変わったと思って楽しもうじゃないか。文句を言っていたライトノベルの主人公にならないように自分らしく、ね。自由を無くすのも嫌だし最前線で戦うのもあまりしたくはない。ヘタレで結構、巻き込まれたんだから自分のしたいようにさせてくれ。
ステータスを消して付け直す。
アイテムの画面を開きたいしね。ガチャ画面から直で他のステータス画面に行ける機能とかがあればより良かったな。まぁ、ガチャを持っているのは俺だけかもしれないから無理は言えないけど。
それで……お、あるある。
アイテムをタップしたら六個のアイテムが画面に出てきた。ガチャの報酬です、と書かれていて横にアイテムの名前があるって感じだね。もちろん、下にスライドしたら他のアイテムも見れたから最初に手に入れた六つ以外が消えるってことも無い。開いてみた感じアイテム獲得をして受け取ってから所持しているアイテム欄が見えるみたいだ。
アイテム欄は四つに分かれている。
一つ目に武器や防具、二つ目に魔石や強化石、三つ目に食料品、四つ目に大切なものって感じか。開いてみた感想だから詳しくは分からない。ただ、これから使っていくうちに徐々に分類は分かってくるだろう。今は手に入れたアイテムの確認からだね。
まず一つ目の武器や防具から。
ここに入っていたのは腕輪と短剣、そして指輪とローブと杖だった。そのまま名前の部分をタップしてみる。すると横の画面に文字の羅列が現れ始めた。読んでいる感じ説明文だろう。長ったらしいけど言葉足らずよりは良いと思って流して読んでみる。
うーん、見た感じ使えないのはなさそうかな。
その中でも腕輪は確実に今から使う。能力は認識阻害や隠蔽能力のようだから自分の力を隠すことが出来るみたいだしね。隠蔽ということもあって無いものをあるようには見せられないけど、あるものを無いように見せられるからガチャや加護に関してはこれで消しておかないと。
そして短剣……これがメインウェポンになるかな。片方が治癒の力を、もう片方が毒の力を宿しているらしいから弱い俺にはピッタリだと思う。説明欄にはヒュドラの毒を使用してありって書いているからそうとうなものだろう。この世界でのヒュドラが強いのかは知らないけど。短剣だから近接戦は免れないか。仕方がない、自分に合う武器がこれくらいだし慣れよう。
一番の目玉である金の玉から出た指輪と黒のローブはグレードに見合うだけの力がある。というか、この二つを序盤で手に入れられたのは本当に運が良さそうだ。指輪は経験値増加を、黒のローブはダメージを三割カットすると説明されていたし。それに指輪自体が防御力増加を、黒のローブ自体が認識阻害効果を付属能力以外で付いているらしいから、本当に金は化け物みたいなアイテムが排出されるみたいだな。奪われないよう注意しないとね。
後の残りは杖か。
これは使いはするけど頻度は少なそう。業火の杖って名前らしいんだけど、文字通り火魔法を使えるようにして火力を上げるってものなんだけど。いかんせん、魔法を覚えていない人の場合はMPの消費が激しいらしい。俺自体が最弱に等しいほどステータスが低いから扱い切れはしないかな。まぁ、全部があって困るものじゃなくて有難い限りだよ。
次は魔石や強化石の場所だね。
ここは見ただけでは分からなかった三つの赤い石と二個の玉が入っていた。最初は使えるのか分からなかったけど見ている感じ黒のローブの次に嬉しいかもしれない。まずは玉二つからだけど極と書かれていた方は経験値魂というものらしい。名前の通り使えば誰でも経験値が貰えるという優れもの。もう一つの玉はスキル玉と呼ばれるようで刻印魔法という稀有なスキルを使えるようになるようだ。
この玉二つは後ですぐ使おう。
刻印魔法自体が多少の縛りはあっても所有者を限定させることが出来るようだから、俺のステータスに見合わない武器や防具を奪われないように出来るからね。これらが無くなったら俺は生きていけないだろう。シナジーが凄すぎて本当に幸運を上げておいて良かったって思えてくる。
そして強化石。
説明欄を見る限りレア度に比べてかなり貴重なものらしいね。市場にあれば言い値で売れるくらいには価値があるものと書いてあった。元々の武器や道具を強化するっていう単純な能力なんだけど使える数に限りがないらしい。王国が所持しているらしい聖剣デュランダルもコレを多く使って今の状態になったようだ。まぁ、デュランダル自体を知らないから分からないけど例で出せるくらいには強いんだろう。
となれば、何に使うかって話だけど。
面白そうだし日本にあったものに使うかな。スマホに関しては電池切れで強化しても使えるか分からないし……となると、イヤホンにでも使ってみようか。強化だし強度が上がったり聞ける音がクリアになったりするのかな。イヤホンプラグが付いているものは異世界にないだろうから、そんな強化があっても使い道はないけどね。まぁ、どうせガチャで出るし試しってことで無駄遣いしよう。
次の食料品は言わずもがな、かな。
赤の玉から出てきた『極上こんがり霜降り肉』とかいう食欲をそそられるものだ。これは考えていた通りテイム確率を格段と上げたり、食べた本人のステータスを微強化したりと使い方次第では無限の可能性がある。さすがに消耗品でありながら赤の玉から出たアイテム。何なら魔物使いの俺としては毎日、これが欲しい。
そして最後の大切なもの、だ。
ここには所持金と俺が日本にいた時に持っていた所持品が入っている。分類するための特徴というか、共通点がないから大切なものって呼称しておく。某ゲームみたいな分類名だけど気にしたら負けだね。後、一応、ミカエルからの手紙なるものもあるし見ておくか。変なことが書かれていたら破いて戻しておこう。
とりあえずは腕輪と経験値魂だけを出しておく。
腕輪は右腕につけておいて経験値魂も割って中身だけ得た。これも説明欄があったからこそ、悩まずに出来たんだ。この説明欄を書いてくれた人に感謝をしないとね。一個で一万の経験値を貰えるようで一気にレベルが二十二まで上がっていた。これでオールGから脱却だ、それでもオールFだから大して変わりはないか。
「俺がこの世界もメサリアも守ってあげるよ」
そんなキザな声が聞こえた。
新島達のイチャイチャタイムがようやく終わったみたいだ。アイテム画面を消して視線をメサリアへと戻した。
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