第3話 初任務ー私事の行動ー

 一方、響希と雪也が現場へと向かうほんの少し前。

 力也りきやはジュリアの仕事場、オペレータールームの一角を陣取っていた。


「フムフムフム」


 力也の両耳にはヘッドホンが装着されている。それは本来まいなが任務で使用するはずの物だ。

 彼は今、響希と雪也の会話を盗み聞きしている。


「さすが響希君。人心掌握系は得意だね」


 盗み聞いてはひとり相槌を打っている。


「・・・・・・ 悪趣味」


 自分の権限を行使して彼らの私的な会話を陰で楽しむとは最低な行為だ。あえて聞こえる声で言ったつもりだが、おそらく彼は歯牙にもかけてないだろう。

 

 しかしその直後、モニターに暴動の連絡が入った。


 力也はまいなに力ずくの肘打ちを顔面に叩き込まれ、ヘッドホンを奪い返されるのであった。


 彼女の背後には突然の出来事で頬を手で覆い、涙目になっているリーダーの姿だけが、可哀想なことに残されるのであった。

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