第2話 俺は本当に、ゴブリンだとでも言うのか?!
土田 空賀(つちだ くうが)こと俺、クーガは女神の無慈悲な一撃により、めでたくゴブリンとして生まれ変わりました。
しかも、記憶を引き継いでの再リトライ! 完璧だぜ。
後は、俺の容姿だが、
「ここは、どこだ?」
どこかの部屋のようだが、
「――あ、なるほど! 俺が目が覚めて、起きたこの場所は目覚めの地というわけだな。―――――うんうん。この世界に送られたときは全裸だったが、白のタンクトップにパンツも付いてサービスいいね!」
辺りを見渡すと、部屋の隅には等身大の鏡が置いてあり、机、教科書が並べられていた。
ふむふむ――と記憶からアニメの流れを考えてみた。
「ってことは、ゴブリン母さんが俺を起こしに来て、ゴブリン学校へ行く。――そんな流れの雰囲気がプンプンするぜ」
俺は外を眺めながら優雅に呟いた。
「ふぅ~。……ありきたりな朝の始まりだな」
もう俺は先読みをして、母さんが二階へ上がってくる前に、部屋の鏡でゴブリンチェックを済ませておくぜ。
鏡を見て、思った俺の一言は
「めっちゃミドリじゃん」
横の窓から外を見渡すと、
「どいつもこいつも、めっちゃミドリじゃん。ったく――ピッコロじゃないんだからさ。色くらい変えろよな」
それにしても俺の顔、
「中々イケてるくね? やっぱ転生してもイケメンスキルは引き継がれるのか?」
――っは!! と引継ぎで思い出した。
俺は急いでパンツを脱いだ。
それは敗れるくらいにもう、摩擦で火が出る程の瞬発力でパンツを脱いで、股間チェックをした。
「はぁ~~」
ホッした。
あの時、イロハエンジェルに股間を切り落とされたことなんて、スッカリ忘れてたぜ。
安心して肩の力が抜けた。
「さて、ベッドに入って母ゴブリンのイベントに備えるぜ」
階段を上がる音が聞こえてきた。
ついに来るか母よ!
ドアが開いた。
「母さん! ちゃんと起きてたさ! もう
母ゴブリン? は目をひん剥きながら俺を見て
「ギャー―――――――!!!! 泥棒!」
「――え? なになに? この展開!?」
母さんじゃないの?。
ってことはココどこよ?
じゃ俺――――「誰よ?」
「待って待て、一旦落ち着こう? な? ここ俺の家じゃないの?」
母ゴブリンと思しきゴブリンが、どこから取り出したかも分からないハンマーを取り出してきて、俺目掛けて振りかぶってやがる。
「――即、退散!!!!」
俺は迷わず家から飛び出したね。
殺されかけたら、窓ガラスぶち破って、二階からでも飛べることが今日、…… 分かったよママ。
俺は着地をした。
衝撃で足は明後日の方向を向いていた。比喩とかではなく俺が進みたい方向とは別方向に曲がっていたさ。
でも俺は必死になって街を走った。
――後ろから追ってくる鬼の形相した母ゴブリンに殺されないように。
みんなゴブリンなのに、俺ばっか見てやがる。
俺はそんなやつらに言ってやった。
「てめぇら。俺は
――ハハ――俺が言いたかったセリフが、こんなところで使える日が来るなんて夢にも……、夢。
―――――あああああぁぁああそうか!――――
俺は気づいた。
これは夢か!!
あの後、マリンちゃんとの清らかな闘いが終わり、俺は夢の中にいる。――そうだ。なんてバカなんっだ! 俺は。
夢なら納得だぜ。
―――――いや、待てよ。
俺はバカだ。
自慢するわけじゃないが、頭の脳内は昼夜問わずパーリナイだ。
飯の時だろうがクソしている時だろうが常だ。
そんな俺が最強にバカだったガキの頃を思い出した。
あれは――――そう。
――昔、こんなことがあったな。
小学生の頃、隣に住んでた一つ年上の健ちゃんに
「くうが~お前ってバカだよな~」
「バカじゃないもん!」
「俺より年下出し、当然バカじゃんか」
「健ちゃん。僕バカじゃないもん」
「ほぉ~じゃ賢いのか?」
「んーー賢くはない。普通ぅ」
「じゃーこれをお前にやる」
そう健ちゃんから渡されたのは小さなカプセルだった。
「この薬を五日間毎日欠かさず飲めばお前は凄く賢くなれるぞ」
「え?! ほんとに!!」
「あぁ、どうだ? ほしいか?」
「欲しい!! ありがとう健ちゃん」
俺はそれから毎日欠かさず薬を吞んだ。
来る日も来る日も飲んだ。
気づけば、五日が経った。
そこで俺は気づいた。
「――僕はバカだった」
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