第3話 香ばしいぃ良い匂い~マーメイド・イズ・マネーだと?
結局俺は母ゴブリンと思わしきゴブリンに鉄拳制裁ならぬハンマー制裁で滅多打ちにされた。
俺は干渉に浸り、頭から血を流し川を眺めながら散歩するゴブリンじじぃ達を眺めていた。
――俺は子供の頃、隣に住む健ちゃんに騙されてから学んだ。
過ちは二度としない。
――はずだったのだが。
「とは言っても、この状況どうしたら、……」
「あの……」
「ん? 今はひねくれた足と取り込み中―――」
「足…… 大丈夫ですか?」
「―――わぉ。デリーシャッス…… あ、違った」
なんて美人な人魚族、生臭い香りの中に香ばしいサーモンのような美味しそうな匂い。
海も近くにないのに尾ひれで二足歩行する美人の人魚に出くわした。
俺の持ち物にモンスターボールを持ってないのが憎らしい。
その子を見てクーガセンサーがビンビン反応してやがる。
「すぐに手当てしないと……」
その子は俺に近づき手を握ってきた。
んん―――ご褒美ともいうべきなのか、……胸が当たってやがる。大当たりだ。
だがこんなことで興奮してたら童貞だと思われる。
ここは慎重に
「ノンノン。人魚の
【イケメンスキル発動!!】
ゴキッ!ベキッ!とぅるん! ――と足を力技で無理やり戻した。
「ほぉら、俺の足は無事さ。それより尾姉さんの綺麗でパリパリの尾ひれが、灼熱の大地で炙られているじゃないか」
炙りサーモンも好き♫
「――あ、いえ。私は大丈夫です」
「何言ってんのさ。よかったら背中に乗りな。――俺が黒潮快速特急で、家まで送って行ってあげるよ?」
「そんな、……悪いですよ――」
この反応、遠慮気味な素振りを見せつつ、ホントは満更でもない感じ。
状況を見て俺は考えた。
童貞or性欲モンスターであれば、グイグイ行く。もしくは言葉を鵜呑みにして引き下がる。
このどちらかだ。
だが――俺はイケメンゴブリン。
経験で押し通るのみ!!
「――分かった。じゃ一杯だけ行こうか。水浴びに――」
俺の脳裏から捻り出された知恵と勇気と希望の一択。これで如何ですかな?
クスッと笑う人魚の尾姉さん。
俺の脳裏には勝利の文字が刻まれた。
人間だった頃、まず初めに声をかけて何をするか。
そう、笑わせるだ。
笑うと相手のガードが緩くなり道が開ける。
そうさ。俺はいつだって道を切り開いてきたんだ。
――アハハハハハハハ―――――――ハハ……
何故こうなった?
人魚の尾姉さんに、「一杯ならいいお店知ってますよ!」 と連れてこられた場所が『マーメイドファゥンタァン』
人間で言うところのキャバクラだ。
「あの、尾姉さん? 僕…… マネーイズ ロストなの」
尾姉さんは俺の言葉が聞こえてないのか、さっきまでのしおらしさとは別に
「ゴブリン入りましたーーーーー!!! マーメイドタワー追加だわこりゃ!!」
シャンパングラスが積み重なりタワーになっていく。
「わぁあ綺麗ーーーーーすごぉい!!」
俺の瞳はシャンパンタワーで輝き興奮に満ちていた。
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