第六章 彷徨の星月夜
第27話 歯車
「マリー!どこなのー!」
「マリー…マリー…、迎えに来てよぉ…。」
思えばサンクチュアリに来て
手探りで木々にぶつからないようゆっくりと進んでいくと、次第に遠くの方から小さな揺れる
「きゃ!!……いたた…」
そこは森の木々に囲まれた広場のような場所でした。身を起こした彼女の目に飛び込んできたのは、闇に燃え盛る
「マリー…?」
それは舞胡蝶姫には
舞胡蝶姫は考えるより先に大急ぎで二人のドレッサーの間に割って入ると、マリーゴールドを
門番の少女は紅く光る
マリーゴールドは激しく痛む胸のあたりを抑えながらも、自分の前に
「……あなた、どうしてこんなところに…?」
「どうしてって…!いくら呼んでもマリーが全然来ないから、心配で探しに来たんじゃない!」
「わたくしを…探しに……??」
それはマリーゴールドにとって
「…相変わらずおめでたいこと。わたくしはあなたの愛するこのサンクチュアリの敵ですのよ?心配して頂く義理なんてありませんのに。」
「サンクチュアリの…敵?どういうこと??」
舞胡蝶姫は思わず振り返って聞き返します。するとずっと無言で
「…そのままの意味です。先程の揺れも突然の夜も、彼女の行動に
「狂い始めて、ですって…?…ふふふ、あはは、あははははは!!」
門番の言葉を聞くと、メイドは急に壊れたような笑い声を上げました。
「何を今更…、そんなの最初からじゃありませんか…。あなただって…わたくしだって!あははは!」
「マリー…?」
彼女の
夜も深まった頃、どこからか
「…ごめんなさい……。」
舞胡蝶姫はたまらない気持ちになって、
「マリーがもし…悪いことをしちゃったなら、本当にごめんなさい…。ボクが代わりにいくらでも謝るから、どうか許してあげて…。マリーは確かにちょっと口が悪かったり乱暴だったりするところがあるかもしれないけど、いつだって誰かのために何かをしているんです。だから今回も…やりすぎちゃったのかもしれないけど…ええと……」
あまりに長い沈黙に不安になった舞胡蝶姫が顔を上げると、マリーゴールドは見たことのない表情で顔を真っ赤にしていました。一方の門番の少女は
「…
門番は絞り出すような声でそう言うと、もはや抵抗できないメイドの
「……本当に、わかりませんの?」
マリーゴールドがぽつりと呟いた言葉に門番は「え」と顔を上げましたが、悲しそうにゆっくり目を閉じると夜の闇に溶けるように消えてしまいました。
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