とある1日の授業(3)

(授業が始まったのだが、リエルはノートに落書きをしている)


イド:………?(なんだあれ……。板書?)


リエル:んしょ…作図……難しい。ぐちゃぐちゃだ……


(定規やコンパスが役に立っていない。ほとんどフリーハンドに見える。)


イド:(あれ落書きじゃなくて、問題解いてんのか…ええと、問い4…合同な図形…作図…)


………別に難しくは…ねーな。


(作図を諦めたようだ。鉛筆を転がし遊んでいる)


ラムサス:……リエル君…作図はフリーハンドではなく定規やコンパスを使いたまえ。


リエル:あのね…使ったよ?ずれちゃうの。


ラムサス:コンパスは開けた後頭だけ持って回すといい…胴体を持てばずれてしまう。

長さは寝かせて測るとやり易い。


(リエルは悪戦苦闘しているが…)


リエル:……あ、引けた!!まん丸!


ラムサス:ふむ。悪くない。後は練習するといい。


リエル:あのね、りょーかい!


(コツを掴んだリエルはご機嫌そうに図形を量産している)


イド:(ほう…やっぱ先生って教えんの上手いな。勉強するときは参考にすっか…)


(授業が終わる頃には章の問題はあらかた解き終わったようだ)


イド:さーリエル帰ろうぜ。…うぉっ…結構解いたのな。あんだけ下手くそだったのに。


リエル:あのね、楽しかった!ラムサス先生すごい。


イド:確かになあ。下手くそな所的確に見抜いてアドバイスしてたし…何より怒らなかったな。(俺はたまに怒鳴っちまいそうになる…)


リエル:あのね、優しい。安心。


イド:この調子で帰ったら社会のおさらいするか?補講、早く終わらせたいだろ?


(不満そうな表情だ。あんまり乗り気ではなさそうなのが見てとれる)


イド:と言うか最近、家で勉強してるとこ見たことがないけど…いつしてたんだ?国語の暗唱テスト、完璧だったじゃねーか。(俺は結構詰まった)


リエル:別に…勉強してないよ。面白いから読んでただけだもん。


イド:え…じゃあノートは?唯一いい感じに書いてたけど…


リエル:えっとね…この前の授業の時の板書。面白いから書いてたの。


イド:全ては面白いから、か……リエルらしい。どのみち補講は分かるまで続くだろ?ちょっとでも面白いとこ、探そうぜ。


リエル:むー…イドがそう言うなら、ちょっとだけ。


イド:よし。終わったらおやつだな。(安直かも知れないが、やる気が格段に上がるからこういう時に重宝するんだ)


リエル:………おやつ!あのね、がんばる!


<一時間後>


イド:うーん…マトモに教科書で勉強しても難しいな……(超眠てぇ…)


(リエルはうたた寝しかけている)


イド:(俺自身が…知らなすぎるか……)

これ…歴史だな……

なあ、おやつ食ったらさ…図書館、行かねーか?


リエル:図書館?静か過ぎて寝ちゃう……


イド:図書館だったらさ、こんな歴史を元にした漫画があったりするんだよ。多少、読みやすいかと思ってさ。どうだ?


リエル:マンガ読みたい!行く!


(図書館に着いたは良いが途方にくれている)


あのね、いっぱいある…どーれ?


イド:(蔵書検索の機械はどこだ……?)お、あれだ。これで調べるか…


リエル:あのね、なにそれ?



イド:これはな…どんな名前(内容)の本が、どこにあるか教えてくれる機械だ。


歴史……卑弥呼……検索、と。


今俺らはここ。

本は………右の棚の42番だな。


リエル:すごい…便利だね。


イド:よいしょ…っと。ほら、読んでみ。


リエル:…………あのね、もっと。


(速読の技術があるリエルは、あっさり読み終わったようだ)


イド:うぉ…以外と早いな。えっと………範囲は何処までだったか。


(プリントを調べると範囲の本2冊を渡す)


(さすが速読持ちの国語好きなだけあるか…。漫画とはいえ読書は苦にならないらしい…)


リエル:あのね、終わったよ……


イド:ん………じゃ、家戻るか。(一応、借りとくか…)


(帰りはイドに背負ってもらって寝ている)


起きたらもう一回解かせてみよう…それで今日は終わらそう。出来は問わない。(さすがに白紙提出にはならんだろう)

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