第7話失格だよ、私

私は白音さんと二人で下校し、彼女を自宅に招いた。

若干、ひきつらせた表情の彼女だったが断りきれずといった感じで自宅に上がってくれた彼女。


飲み物などをトレーに載せ、運んできた私の眼に映ったのは私の自室で足を崩して俯いていた彼女の姿だった。

いくらなんでも強引に誘いすぎたな、と今さらながら後悔してしまう。

「お待たせ~沙穂ちゃん!ごめんね、強引すぎたよね?沙穂ちゃんと一緒に居たい一心だったから......ごめんね、沙穂ちゃん」

「えっと......私にばかり構っててもいいんですか?私よりも部活のぅっ──」

振り返った彼女が慎重に選び発した言葉を遮り、彼女から聞きたくない言葉が続くと瞬時に感じ取り、抱き付くと同時に唇を重ねた。

うぅーうぅー、と足掻く声が口内でくぐもり続け、舌を絡めようとする私の魔の手から逃れようと必死な彼女だった。

彼女の熱を帯びた口内の温もりを感じること2分が経過しただろう頃、彼女に引き剥がされ、呼吸を荒くし頬を紅潮させた彼女の表情を捉えた瞬間に悟った。


──嫌われたということを。


「私とは......友達、なんですよね?恋愛対象というわけでは......」

「......っと。気持ち悪いよね、こういうのって?そう思うよね、やっぱり......受け入れられないよね?」

「......んて、言えば良いのか整理できてなくて。えっと......あのっ!先輩とは友達で居たい、ですっ!でも......私には、そういうことが......分からなくて。決して気持ち悪いだなんて......」

「ごめんねっ困らせるようなことしてっ。先輩なのに......沙穂ちゃん」

困惑しながら、現在いまの関係を崩すまいと整理しきれてないであろう脳で思い浮かぶ言葉を選択チョイスして、言葉を紡ぐ彼女に申し訳ない想いが溢れだした。

「ごめんね、ごめんねごめんね──ごめんね、沙穂ちゃ......ん......」

涙が溢れ、ぽろぽろとフローリングが濡れていく。

「私こそ、ごめんなさいっ!泣かせてしまうほど──」


彼女をここまで深く傷付けて、自身わたしは先輩失格だ......


後輩に背中を擦られながら、猛省し、啜り泣き続けた。

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