第6話勘づくチームメイト

週が明けて、数日が経過した水曜日。

放課後の部活を終え、制服に着替えていると隣でベンチに腰かけタオルで汗を拭き取る優奈が声を掛けてきた。

「最近、めっちゃ生き生きした感じで部活に打ち込んでんじゃん!何かあった、陽香?」

「えぇ~そう見えるぅ~?まぁ~ね!そんなことより彼氏はどうなの、波並ぃ?」

「むりだってぇ~のっ!私には教えてくんないのかよ、気になるんだけどぉ~陽香ぁ~っ!」

短く返答し、身体をゆらゆらと左右に揺らしながらしつこく聞いてくる優奈。

彼女は興味津々のようでニヤケながら私に視線を向けてくる。

「えぇ~じゃあ......できたんだ、好きな娘。めっちゃ可愛くてさぁ~!」

白音さんの名前は出さず、打ち明けた私。

「可愛いぃ~?かっこいいじゃなくて?もしかして女子だったりする?」

「えっ......べっべ別っにぃそうでも良くない。何、その顔?」

動揺して、彼女から視線を逸らし改めて見返すと、彼女の表情が小悪魔的な笑みを浮かべ、あることを口にした。

「それは認めてるってことだね。部活を観に来るようになった女子、とか?......へぇ~そうなんだぁ、陽香ってああいう娘がタイプなのかぁ~」

「うっ......別に、良いじゃんか。誰を好きになろうと......言いふらそうって考えてたりする、波並?」

「陽香に恨まれるようなことしたら、一緒に居れなくなるからしないよぅ~。じゃあさぁ~私のことはどう思ってんの?」

「ありが──って、えっ?友達......だけど、怖いって目が......」

「そうなんだぁ、私だけかぁ......陽香を親友って思ってたの。凹むなぁ、そんなにあの娘が良いの?」

「何?どうしたの、波並......えっ?」

彼女の様子がいつもと違う。

「ごめん......変なこと言って。忘れて」

近くにいた部活仲間チームメイトが私と優奈へと視線を向け、首を傾げていた。


私は待たせている白音さんに申し訳なく、困惑しながら白音さんが待つ図書室へと急ぐ。



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