第8話
「お嬢さん、どこのお尋ね者かは知らないけれど、この後はどうするんだい?」
そう尋ねられ、私はうーんと悩む。
「ここら辺に新聞記者とか情報屋とかって居ませんか?」
私は恐る恐る尋ねてみる。
昨日から私はこの少年に頼りきりだ。
しかし、相変わらずフードで顔が隠れているせいで、表情がいまいち読めない。
今のところ悪い人ではなさそうだけれど、油断は禁物だ。
なるべく私のことは隠しておこう。
「新聞屋なら、ここの近くにあるよ。どうせ俺も午後まで暇だし、案内してやろうか?」
「え?いいんですか?」
何ていい人なのだろう。
段々この人を心から信じきれていないことに罪悪感が湧くほどに優しい。
「あの、ところで、あなたのお名前は…?何と呼べばいいでしょうか?」
自分が名乗らないのに人の名を聞くのは失礼だろうけれど、なんと呼べばいいかも分からないので一応聞いてみる。
「あー、俺もお嬢さんと同じで、あんまり話したく無いんだよねー、俺のことはレオって呼んでくれ。」
「レオさんですね!分かりました!」
彼もまた何か特別な事情でもあるのだろうか?
しかし、私も自分の事が話せない立場上、他に質問するのも無粋であろう。
私はレオさんの後をまたついて行く。
宿を出て何回か右左と角を曲がったのち、小さくて古い店にたどり着いた。
「ここが新聞屋だよ。
俺はそろそろ知人と待ち合わせの場所に行かなきゃいけないから、バイバイ。」
そう言ってレオは手を振って去っていった。
恐らくもう会うことはないのであろうが、人にこんなに優しくされたのは久しぶりだった為、とても暖かい気持ちになった。
「さあ、後は情報を売りましょう!」
私は意気揚々と新聞屋に入って行った。
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