第7話

「あ、やっと起きた?」


朝目が覚めると、フードの少年がベッドの側に立っていた。


「え?え?」

私は一瞬固まってしてしまう。


昨日は確か、夜のうちにお屋敷を抜けて、下水や森を彷徨って、それから…


そうだ、このフードの少年について行って、部屋を貸して貰ったんだ。


私はすぐ様起き上がり、ありがとうございます!と全力で叫びながらベッドの上で土下座した。


「本当にありがとうございます!

この御恩は一生忘れません!」


「相変わらず君は大袈裟だね、ところでさ、バスローブのままだと、ちょっと目のやり場に困るから、なんか着替えてくれない?」


私はそこで自身の格好に気付く。


昨日シャワーを浴びてホテルの備え付けのバスローブに着替えてすぐに眠ってしまったのだ。


「あ、あわわわわ、も、申し訳ありません!」


私はすぐ様持ってきた荷物から着替えを出してシャワールームのカーテンの向こうへ逃げる。


「俺後ろ向いてるから、着替え終わったら声かけてね。」


「は、はい!」


私は急いで着替えを終わらせて男性に声をかける。


「終わりました!」


慌てて着替えた為寝癖なども何も直っていないし、髪はぐしゃぐしゃだった。


「あ、昨日は要らないと言われましたけど、これ貰ってください!」

と私は自身で持ってきたありったけのお札をフードの少年に差し出した。


それに少年はびっくりした顔をしていた。


「いや、お嬢さん、


「え?」


私は戸惑う。


「お嬢さん、もしかしてこのお金の価値が分かってないの?ここの宿代は一晩30ペル、お嬢さんが今持ってるのは30万ペルだよ?」


「へぇ、そうなんですね!」


そういえば私はお屋敷からほぼ出たこともない為、普通のホテル代などがどのくらいの金額かなどあまり分かっていない。



「お嬢さんって何者?」


ギクッ


今ここで私が公爵の娘だとバレるのはまずい。


今現時刻8時20分。


もう私が屋敷を逃走したことはバレてる筈だ。


もしバレてしまったら家に連れ戻されるかもしれない。


はたまた、私の権力を利用されるかもしれない。


身代金をお屋敷に請求されたり、脅迫されたりするかもしれない。


そう思うと私の顔はどんどん青ざめていった。


「あ、お嬢さん、話したくなければいいよ別に。後本当に俺金は要らないから、そのお金は別のものに使いなよ。」


私はよっぽど酷い顔をしていたのだろう。


少年は優しくフォローしてくれた。

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