第22話
菊水園で働き始めて半年が経ちました。
働き始めてから、スキルアップしたり新たにスキルを獲得したりした。
名 前:
種 族:人間
レベル:14
職 業:交渉師/SUB職業:保育補助士
性 別:女
年 齢:26歳
体 力:280/280
胆 力:823
知 力:521(+20)
腕 力:55
攻 撃:28
防 御:20(+3)
精神力:1666
称 号:社畜の鏡・先生
装 備:東陽市立中学校のジャージ上下・体操服・眼鏡・ボイスレコーダー搭載ボールペン
固有能力:収納7・鑑定22・忍耐29・並列思考31・最適化40
後天能力:不眠耐性5・速読6・暗記7・交渉4・話術5・苦痛耐性8・指導3・意思疎通(動物限定)2
前職の比にならないくらい、保育補助は物凄く体力を使う仕事だ。
全ステータスが軒並み上がっていてもおかしくはない。
後天能力に「指導3」と「意思疎通(動物限定)2」を得たのは、仕事の副産物と言えるだろう。
とはいえ、疎通できる範囲も「こう思っているかも~」という曖昧な感じである。
アプリ『Catch the cat!』については、愚弟をバイトとして雇い丸投げしている。
小銭を稼ぐつもりが、毎月結構なお金が入ってきているのは内緒である。
この仕事をしていると、ちょっと特殊な事情の子が入ってくることがある。
大体が家庭の事情で入所する子が多く、虐待などで保護される子や捨て子を受け入れることもある。
今回のケースは、虐待で一時保護をした子が入ってきた。
そして、何故か私が担当になっている。
便宜上は私の先輩保育士が担当なのだが、実質は私が担当し一日の状況を日誌に書き情報共有をしていた。
メンタルケア心理専門士の資格があるから、任せたいと考えたのだろう。
知識はあっても実践で使ったことがないので、ケアしきれるかどうか不安だがやるしかない。
まずは、信頼関係を作るところから始めた。
一時保護された子は、桜木モモちゃん。小学3年生なのだが、学校に殆ど行かせて貰えなかったのか読み書き算術が全くできない。
常識という常識を知らずに育ってしまい、ちょっとしたことで他の子とトラブルになる。
そういう時は、決まって手や足が先に出てしまう問題児だ。
問題児を体よく押し付けられてしまい、他の子と一緒の共同生活は少し難ありと先輩に報告した。
主任は、職員や研修生用の宿舎にモモちゃんと一緒に生活するように言って来た。
「柏木主任、それはちょっと新人の私には荷が重いです」
「モモちゃんをこのままホームで受け入れるのは難しいのは分かるでしょう?
「私の資格は民間資格ですよ。流石に、二人きりは無理です。シフトの関係上、ずっとモモちゃんの面倒を見るわけにはいかないですし」
半年のトライアル期間も終わり、正社員として働いている。
シフトを無視して、休みもなく一人の子にかかりきりになるのは如何なものかと苦言を呈してみるが、柏木は困った顔をするだけだった。
「一時保護だから、その間だけお願い。休みの日は、別の職員が対応するからお願い」
両手を合わせて拝まれても、私は神様でも仏様でもない。
これ以上断ったら、今後の仕事にも影響をきたすかもしれない。
「……分かりました。一旦、家に帰って着替えとか取ってきて良いですか?」
「ありがとう。助かるわ! 今なら子供たちが居ないから、取りに行って大丈夫よ」
「おーちゃんも、宿舎泊りになりますけど問題ないですよね?」
「本当はダメなんだけど、今回ばかりは仕方がないわね。許可します。
「必要があれば、医療機関に受診するかもしれないからですか?」
「察しが良くて話す手間が省けるわ」
柏木の言葉に、私は小さく溜息を吐き肩を竦めた。
最初からそっちが目的だったのか。
薄々分かっていたが、ハッキリ言われると期待値がストレスになるな。
「了解です。出来る限り頑張ってみます」
私物は収納の中に入っているが、それは
スキルは便利な反面、他者に誤魔化したりするのが大変だったりする。
それに、モモちゃんと向き合う覚悟を決める時間が欲しかった。
私は主任と軽く今後の方針について打ち合わせした後、数日分の着替えなどを取りに自宅へ戻った。
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