第13話
草の陰からミャーミャー鳴く声に釣られて、当たりを鑑定すると茂みの中に子猫がいるのが分かった。
捨てられたのか、それとも最初から野良なのかは分からないが、様子を見てみようと茂みをかき分けると雨避けのダンボールの中に生後間もない子猫がぽつんと置かれていた。
か、可愛い!!
思わず悶絶して叫びだしたくなる衝動を抑え込み、猫ちゃんに恐れられないように手を伸ばしてみる。
指をスンスンと嗅いだかと思うと、チュパチュパ舐め始めた。
目が見えてないのだろうか?
子猫を鑑定してみる。
名 前:なし
種 族:三毛猫(野良)
レベル:1
職 業:なし
性 別:雄
年 齢:生後半月
体 力:3/11
知 力:2
腕 力:1
攻 撃:1
防 御:1(+1)
精神力:5
称 号:なし
装 備:汚い毛布
固有能力:遠吠え1・威嚇1・恐怖耐性1
状 態:栄養失調・虚弱体質
……生後半月で3つもスキルを持っているって凄くないか?
どんな猫生を送ってきたんだろう。
三毛猫の雄は珍しいというが、その中でも毛並みが最も珍しい茶色と黒の二色を持っている。
身体も弱いのが捨てられた原因の一つかもしれない。
鳴き声を上げるだけの気力が残っていたのが奇跡だ。
私は、カーディガンを脱いで子猫を包むと暖かさに安心したのか大人しくされるがままになってくれている。
春先とはいえ、日陰はまだ肌寒い。
スマートフォンで一番近い獣医さんのいるところへと猫を連れて駆け込んだ。
薄汚れた猫を連れて来たので、獣医さんは拾ったのだと悟ったようで、温かいタオルで猫の身体を優しく拭いた後、これからこの子をどうするのかと聞かれた。
「飼います」
「猫を飼った経験は?」
「無いですね」
「そうですか。飼うにあたって、必要な物やするべきことなどが書かれた冊子をお渡しするので、帰宅後に読んでおいて下さいね。じゃあ、診察始めますね~」
そう言いながら、検温・体重測定・血液検査など色々して貰ったら、結構な諭吉さんが飛んで行きました。
診断結果は、鑑定と同じで栄養失調だけだった。
私は、子猫を我が家へ連れて帰るにあたり、必要な物の買い出しに行かねばならないことに気付く。
病院のトイレで収納に入れていた、カンガルーポケットの突いたパーカーを取り出して着込む。
子猫は、カンガルーポケットの中に入って貰いましたとも。
最初はモゾモゾしていたのだが、段々大人しくなり、歩いても起きないくらいには静かになった。
私は、近くのペットショップによって必要な物を買いまくった。
収納を使えば大きいものも購入できるのだが止めた。
本当に必要最低限のものしか購入していない。
両手に袋をいくつも抱え、人気のないビルの間に入り、サクッと収納に仕舞った。
そのまま散歩は中断して帰宅し、新たな家族となった猫ちゃんに
名前の由来は、
安直かもしれないが、タマやブチよりは個性的で認識しやすい名前だと思う。
「
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