第12話

 散策も兼ねて街をプラプラしつつ、鑑定しまくったらレベルアップの声が聞こえて来た。


―鑑定の熟練度が一定に達しました。鑑定9から11へ、忍耐16から20へ、並列思考24から26へ、最適化16から21へレベルアップしました。新たに苦痛耐性1を取得しました―


 鑑定様が、二桁に乗ったか。

 鑑定を使うと頭痛やら何やらで肉体的・精神的負担が大きかった。

 新たなスキルの苦痛耐性は有難い。

 鑑定レベルが上がったので、自分のステータスを確認してみたい。

、私は自販機で缶コーヒーを購入して、近くのベンチに腰を下ろした。

 ステータス鑑定と心の中で唱えると、ブンッと目の前に自分のステータスが表示された。

 項目も多くなっている。


名 前:荷納かのうかがみ

種 族:人間

レベル:8

職 業:交渉師/SUB職業:なし

性 別:女

年 齢:26歳

体 力:220/220

胆 力:781

知 力:291(+20)

腕 力:12

攻 撃:15

防 御:11(+8)

精神力:1043

称 号:社畜の鏡

装 備:黒のカッターシャツ・黒のズボン・サコッシュ・眼鏡・ボイスレコーダー搭載ボールペン

固有能力:収納4・鑑定11・忍耐20・並列思考26・最適化21

後天能力:不眠耐性2・速読3・暗記5・交渉3・話術4・苦痛耐性1


 レベルが可視化出来るようになった。

 新たに胆力という項目が追加され、精神が精神力へと表示変更している。

 胆力を詳しく見てみると、恐怖や威圧に対する物おじしない耐性を指しているようだ。

 防御の(+8)の部分を押すと、装備品扱いになっている服などが関係していた。

 知力の(+20)は、ボイスレコーダー搭載のボールペンだろうな。

 これは、見なくても分かる。

 鑑定のレベルアップのお陰で、更に詳細な情報も見れるようになった。

 収納レベルが変わっていないのが気になる。

 収納自体使っているが、レベルは上がっていない。

 やはり、一度に大量の物を収納する必要があるのかもしれない。

 一度に大量の物で容量が大きい物が揃う場所、かつ人が少ないと言えば……あそこしかないな。

 私は、ふと頭に浮かんだ事を実行するためにIK●A新三郷店へと足を運んだ。

 東京のIK●Aは、お世辞にも大きいとは言い難い。

 その点、新三郷店なら広さも十分だろう。

 私は、電車とバスを乗り継いで目的地へと足を運んだ。



 目的地に到着して、意気揚々とお店の中に入って行く。

 監視カメラの位置を把握するために、全フロアをじっくり観察して回った。

 泥棒をするわけじゃないよ!

 ちょっとスキルアップのために収納させて貰うだけだから!

 自分に言い訳しながら、何食わぬ顔でからっぱしから収納と搬出を繰り返す。

 収納も出すのも1秒くらいなので、タイムロスを含めても3秒で収納と搬出できる。

 気付かれても目の錯覚? と思われる程度なので、顔に出さなければ問題なし。

 人目を避けながら収納と搬出を繰り返したら、レベルアップの音がひっきりなしに聞こえて来た。

 最終的に収納は31まで上がった。

 搬出を繰り返したことで、派生スキル「格納」「拡大」「縮小」を取得した。

 格納は物だけでなく生物を出来る空間で広さは10畳くらいとなっている。

 拡大と縮小は、言葉通りの意味である。

 物に限定されるが、任意の物を縮小・拡大させることが出来る。

 これは使えるのか? と思ったが、使い道は追々考えることにしよう。

 私は、新しいスキルを手に入れたことに満足して帰路を歩いた。

 そして、出会ってしまったのだ。

 運命のひとに!

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