第11話

 弁護士同伴で会ってから、弁護士経由で接近禁止を出して貰ったので快適です。

 結論から言うと、会社は過去遡って未払いの残業代とハラスメント行為に対する慰謝料の請求を飲んで貰った。

 勿論、こちらも訴えたことを公言しないという条件つきではあるが。

 正岡まさおかの方は、裁判をちらつかせると大人しくなった。

 示談を申し込んできたが、一度は突っ返した。

 示談金が10万とか舐めてんのか? とせせら笑ったよ。

 それから親が出てきて、正岡まさおかよりまともで裁判履歴が残ったりすると、他の家族や親類に迷惑がかかるということで相場より多めの示談金と弁護士費用を支払うことで決着した。

 欲を出すと良いことがないので、出せるお金のギリギリまで攻めた。

 ただ、流石に正岡まさおかの弟妹の学費等を差し出そうとしたときは止めた。

 ぶっちゃけ、そこまでする必要がないし。

 何より正岡まさおかにダメージがない。

 なので、弁護士先生にお願いして金融会社を紹介して貰った。

 借金するのは正岡まさおかで、返済も正岡まさおかただ一人。

 質の悪い町金を紹介してあげました。

 それと同時に、親御さんを含むご家族は正岡まさおかと縁切りした方が身のためだよとも教えておいた。

 正岡まさおかのこれからの人生は地獄だろう。詰んだな。

 会社は今回の一件で退職した人が続出したらしく、徒党を組んだ元従業員が会社相手に残業代の未払い請求を行ったらしい。

 私が何か言ったんじゃないかと疑われていたが、実際は大声で社長たちが話しているのを元従業員達が聞いていただけだったというオチである。

 弁護士さんからは、なかなか愉快で楽なお仕事だったと事後報告も兼ねて教えて貰った。

 結構な額のお金を頂いたので、暫く働かなくても良くなった。

 しかし、お金は無限にあるわけではない。

 次の仕事を考えなければならない。

「次の仕事か~。働かないと怠け癖がつきそうだしなぁ。適当な会社に就職するものなぁ。スキルを活かした仕事をしたい」

 私は、今取得しているスキルを見つめながら考えた。


名前:荷納かのうかがみ

種族:人間

職業:交渉師/SUB:なし

性別:女

年齢:26歳

体力:220/220

知力:291

腕力:12

攻撃:15

防御:11

精神:1043

称号:社畜の鏡

固有能力:収納4・鑑定9・忍耐16・並列思考24・最適化16

後天能力:不眠耐性2・速読3・暗記5・交渉3・話術4


 職業の交渉師は不本意だが、交渉レベルが上がっているので適正はあるのだろう。

 暗記と速読のレベルが上がっているので、何等かの資格を取るのもありか。

 資格の通信サイトを見ながら、どれにしようかと悩む。

「……メンタル心理士か」

 確かに心理学について学んでおくと、後々役立つかもしれない。

 メンタルケアカウンセラーとどう違うのだろう?

 受講費も結構差があるので調べてみたら、取得の難易度が違った。

 メンタルケアカウンセラーは認定試験がなく課題の提出のみで取得できるのに対し、メンタル心理士は認定講座を受講後に試験会場にて検定を受ける必要がある。

 さらに、学科試験だけではなく課題となるレポートの提出や実技試験もあることから、メンタル心理士の方が難易度が高そうだ。

 仕事の幅も増えそうだし、色んな職場に通用する技術かもしれない。

「よし、お金に余裕もあることだし学ぶか」

 私は、ポチッとメンタルケア心理士4~2級までの教材をポチッと申し込んだ。

 教材が届くまですることもないし、近所の探検でもして時間を潰そう。

 同じ市内とはいえ、端から端へ引っ越したので、どこに何があるのかチェックしておかないと困るしね!

 私は、いつものようにサコッシュを肩に下げて意気揚々と家を出た。

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