第8話

 社畜OLから脱却して、現在有給休暇消化中の荷納かのうかがりです!

 有給休暇初日から鬼電の嵐かな? と思っていたのですが、そんな気配はありませんでした。

 多分、私が渡した引継ぎ資料に目を通していないんだろうな。

 そうなると、連絡が来るとすれば来週の水曜日辺りだろう。

 打ち合わせの訪問アポが数件入っているし、求人広告の継続掲載の手続きが出来ていないだろうから、先方からのクレームが入ると予想出来る。

 あの馬鹿達から連絡が入らなかったら、1週間は平穏な時間が過ごせる。

 会社と正岡まさおかを相手取って訴える準備は、殆ど出来ているので弁護士さんに後は丸投げだ。

 同時に労基にも、超過労働やら脱税っぽいことをしているってチクリに行きます。

 勿論、証拠持参の上でですよ。

 裁判も控えているので、その辺り考慮してねと労基の担当さんにそれとなく伝えておいたら、物凄く悪い笑みを浮かべていた。

 どうも、うちの会社は前から目を着けられていたらしく、ノコノコと証拠を持参に密告しにきた私という構図が出来上がったようで、会社の倒産は確定したようだ。

 離職票の発行手続きを会社が早々にしてくれるとは思わないので、自分でやりましたとも!

 事務仕事を丸投げしてくる会社だからチョロイ。

 数字には五月蠅い癖に、細々とした手続きは嫌なようで、事務処理が早い私に押し付けてくれたもんだよ。

 会社都合での退社として書類を作成し、必要事項を記入・捺印して、郵便局で配達日を指定して出しておいた。

 誰が自主退職するか、バーカ!!

 不当解雇なので、これくらいさせて貰う。



 弁護士と打ち合わせをしたり、引っ越ししたり、格安SIMのスマートフォンを新たに契約したりしていたら、あっと言う間に1週間が過ぎていた。

 案の定と言うべきか、朝から固定電話と前スマートフォンへ着信の嵐状態になっている。

 分かっていたけど、本当に救いようのない馬鹿達だ。

 取り合えず、固定電話はMJモジュラージャックを抜けば良い。

 肝心のスマートフォンに関しては、サイレントマナーに設定しておいて良かった。

 留守電機能をONにしていないのは、私からの細やかな嫌がらせである。

 どこで新しい電話番号が漏れるか分からないので、連絡先を教える相手は妹と弁護士だけだ。

 私が担当したクライアントの人達には、多少なりとも罪悪感を覚えたが、ほとぼりが冷めた頃に連絡を取ろう。

 あの鬼電っぷりを見ると、連絡しても通話中の音が流れるだけだろう。

 住民票も閲覧制限掛けたから、新居に押し入られることもないはず。

 私は、正岡まさおかのSNSをチェックしながらニヤニヤが止まらない。

 もう直ぐ、お前らに内容証明という地獄行きの片道切符が届くだろう。

 そう考えるだけで、笑いが止まらない。

 

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