第2話

 久々の休日の外出。

 いつもなら、昼過ぎまで寝て、掃除と洗濯をして少しゲームしたら一日が終わっているのに。

 やっぱり、私だけ見えるステータスが中二病心をくすぐるんだよなぁ。

 鑑定を使うと先程の二の舞になるので、収納のスキルを試してみたい。

 となると、買い物だろうか?

 日用品から食料品まで通販サイトのお世話になっているから、ショッピング自体していない。

「収納がどれくらいの容量が入るか検証したいけど、容量が少ないと持ち歩かないといけないし……。無難に服?」

 そうと決まれば、都心に出るか!

 私は、Suicaを使って上野駅近くにあるプチプラのPOP GIRLを目指した。



 電車を乗り継いで40分。

 やってきました、POP GIRL!!

 プチプラファッションを取り扱っているお財布に優しいお店である。

 TVでブランド品も混ざって販売されていると聞いた時から、気にはなっていたんだよね~。

 職場が西新宿だから、上野まで足をのばすことがないので新鮮な気持ちだ。

「薄給の私でも、全身コーデできる値段だ」

 ありがたや~と心の中で拝みつつ、どれにしようか物色をし始める。

 どうせ買うならブランドの服が欲しい。

 鑑定を使うと、あの激痛が襲ってくる。

 指定した範囲の鑑定が出来たら便利なのにと思いながら、ステータスバーの鑑定を押すと、プルダウンが出て来た。

 指定鑑定・範囲鑑定の二種類で、詳細を読むと指定鑑定は言葉の通り特定の物に絞って鑑定するスキル。範囲鑑定は、指定鑑定ほど詳細ではないが大まかな鑑定が出来るとある。

 指定鑑定で一つずつ調べるのは性に合わない。

 ここは、多少の我慢してでも範囲鑑定するしかないでしょう!

 ということで、範囲鑑定で目の前に陳列されているコートの一角を鑑定した。

 最初に使った時よりも軽減されているが、情報量の多さに気持ち悪くなる。

 コートの大半はノーブランドだったが、中にブランドも何着か紛れていた。

 ブランドだけを手に取り、買い物かごの中に放り込む。

 それを各コーナーで範囲鑑定を繰り返し、私の買い物かごの中はブランドの服や小物で一杯になった。

「……会計をお願いします」

 生気のない声で買い物かごをレジにいるお姉さんに渡すと、思いっきり顔を引きつらせている。

「あ、はい。あの……大丈夫ですか?」

「……大丈夫、です」

 返事するのも億劫だが、そうでも言わないと救急車を呼ばれそうな勢いだ。

 鑑定使って酔いましたとは、口が裂けても言えないわな。

「2万7841円です」

 無言で3万円を渡し、滞りなく会計は終わった。

 大きなビニール袋を両手に抱えながら、一先ず目的の1つは達成した。

 範囲鑑定のお陰で、鑑定レベルが1つ上がったし、まずまずだと思う。

「さてと、次の実験に進むか」

 収納がどれくらい出来るのかは、確かめておきたい。

 私は、えっちらおっちら歩きながら駅の多目的トイレに入る。

 内鍵をしてから、おむつ交換台に荷物を載せてステータスバーの収納を押した。

 「収納しますか?」の表示に「はい」を選択すると、ビニール袋の山は綺麗になくなり、収納に新たなプルダウンが表示された。

 押してみると、服18着・靴3足・鞄4個と表示されている。

 確かにそれくらい購入した。

 収納1では、大分類別で分けて収納しているようだ。

「あの程度なら収納は可能と。容量自体は未知数だけど、分類は出来るのは収穫があったかな。レベルが上がれば、細分類化するかもしれないから要検証だね」

 私は、今日の成果に納得して多目的トイレを後にした。

 

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