3月1日
今日は、俺の高校最後の日だ。
玲香が完全にいなくなって、数ヶ月が過ぎた。
俺は相変わらず、玲香の事を忘れられずにいる。
10年以上も片想いしていた子のことを、そんなすぐに忘れられるはずもなかった。
クラスメイト達は、最初こそ寂しがっていたし、俺の事を気にかけてくれる人もいた。
しかしみんな少しずつ元気を取り戻していた。
それが薄情に見えつつ、しかしきっと、俺が彼女に執着しすぎなだけなのだろうと言うことも分かっている。
生前の玲香にも、散々私以外の人とも仲良くしろって言われてたっけ。
でも俺は玲香と話す時間が一番好きだったから、他のことに時間を割きたくなかった。
あの日以降、玲香はもう二度と現れることはなかった。
この前、一度だけ手首をカッターナイフで切ってみたが、勿論彼女は現れず、ただ手首から流れ出てくる血がジクジクと痛んだ。
今も傷跡はまだ残っていてジンジン痛むけど。
この傷とともに心もいつか癒えるだろうか。
俺は今日、こんな自分とも卒業できるだろうか。
彼女の遺言の様にうまく笑えてるかは分からないけれど。
頑張って生きてみようと思う。
自殺したがる彼を止める方法 本田ゆき @hondayuki
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