第14話
それから数時間後、今まで私のことを避けていたイクリスが突然姿を現した。
「え?イクリス?」
私は久しぶりにイクリスに声をかける。
心臓が一気に鼓動を早めた。
避けられていようと、やはり私はイクリスのことが大好きなのだ。
「あ、メイ、その…。」
しどろもどろになりながらも、イクリスは精一杯の気持ちを伝える。
「こ、これを。」
そう言って、イクリスは手紙をメイに差し出した。
「手紙?」
メイは手紙を受け取って不思議そうにそれを眺める。
「その、待ってるから。」
そう言ってイクリスはあっという間に何処かへ行ってしまった。
「待ってる?」
しかし、イクリスから手紙を貰うなんて初めてである。
ドキドキしながら封を開ける。
手紙には、お昼に中庭で待ってるとだけ書いてあった。
「何だろう。前に私が中庭が好きだと言ったから、そこでお昼を食べようと言う事かしら。」
何にせよ、イクリスからこうやってお誘いが来るのは初めてである。
メイはお昼になるのをわくわくしながら待っていた。
そして午後の12時、メイは中庭に到着していた。
どうやらまだイクリスは来ていない様である。
「まだ来てないみたいね。」
メイは中庭にあるベンチに腰掛けて待つことにした。
暫くして、イクリスが姿を現した。
しかし、表情がいつもより優れない様である。
「イクリス、どうしたの?顔色が悪いみたいだけれど。」
そうメイはイクリスの元へ近づいた。
「ねえ、本当に大丈夫?」
「あ、ああ、大丈夫だ。」
そこでイクリスは思った。
少しの間メイの事を避けていたが、久しぶりに目の前で見るメイは、
とてつもなく可愛い。
やばいどうしよう。可愛いがすぎて無理きついしんどい。
え、俺この可愛い生き物に今から告白するの?
好きですって言っちゃうの?
うわーどうしようこれ大丈夫だろうか。
大丈夫なのか俺生きていられるか俺。
振られたらどうする?寧ろ変な目で見られたら…。
あ、でもメイに変な目で見られるってそれはそれでアリかも。
いや、変なところに目覚めようとするな俺。
言え!言うんだ俺!男を見せろ俺!
「メ、メイ。」
俺はメイの事を真っ直ぐ見つめた。
メイは心配そうにこちらを見ている。
「俺、メイのことが…。」
「は、はい…。」
俺が顔を赤くしているせいか、メイも顔が赤くなっていってる様な気がする。
「ずっと前から、
可愛くて可愛くて仕方がないと思ってた!!」
「…え?」
俺は好きだと言う本心を言いたいあまりに、別の本心の方が出てきてしまった。
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