第13話

そして来たる翌日、イクリスは困っていた。


「アイザック、昨日告白の練習はしたが、そう言えば呼び出す練習をしていなかった!」


「いや、そこは練習いらないだろ。」


この人はまた何を言ってるんだとアイザックはため息を吐く。


昨日はやる気があったから良かったものの、やはり本番が近づくと緊張しているらしい。


そりゃ、告白で緊張しない人なんていないだろうけれど。


「まあ、呼び出しなんてちゃちゃっと済ませて、ちゃちゃっと告白しちゃいなよ。」


そう言ってアイザックはイクリスの背中をグイグイ押す。


「待て待て待て!

早まるな!ちゃちゃっとって何だ!

どうやったらちゃちゃっとそんな事が出来るんだ!」


また面倒臭い感じになってる。


「なら、手紙で書いたら?

話があるのでいつ何処で待ってますみたいな感じで書いてさ。」


「成る程!手紙か!」


早速イクリスはレターセットとペンを用意した。


用意したはいいのだが。


「どうやって書けばいいんだ?

まずは拝啓から書き出せばいいのか?」


「いや、文通じゃないんだから、もっと簡単でいいって。」


やはり天然なのか、手紙一つ書くのに苦戦していた。


一方ジョージは、メイの元へ一足先に訪れていた。


「あの、メイさん、大丈夫ですか?」


メイはイクリスに避けられて以来、ずっと落ち込んでいたのだ。


アイザックからは自信を持って大丈夫とは言われたが、やはりショックが隠しきれない。


「え、ええ。

ごめんなさい、心配かけてしまって。」


そう軽くジョージに頭を下げる。


「いえ、いいんですよ。

俺が勝手に心配しているだけなので。」


それからジョージは意を決して口を開く。


「あの、今日の17時に中庭の方で会えませんか?

相談したい事がありまして。」


メイは突然の申し出にキョトンとする。


「相談?私に?」


「はい、是非メイさんに相談したいんです。」


メイは不思議そうな顔をするも、ジョージには演技をしてもらったり、今も心配してくれていたりと恩義がある。


断る理由は特になかった。


「私なんかがお役に立つかは分からないけれど、それでもいいなら…。」


「ありがとうございます!」


そう言って、ジョージはではまた、と去っていった。


「相談って何だろう。

ジョージさんも恋愛相談とかだったりして。」


しかし、それなら私よりメアリーさんやアイザックの方が適任だと思うけど。


私は両想いにすら慣れていないのだから。


「きっと、何か別のことよね。」


そうメイは思うことにした。

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