第12話
「それで私にメイさん役をやって欲しいと?
いいですよ。」
アイザックはメアリーを呼び出し、無事練習に付き合ってもらうことになった。
「まあメイ姉さん役と言っても基本簡単に相槌さえうってくれればいいから。」
アイザックはメアリーにそう軽く伝えた。
「オッケー、分かりました。」
「それじゃあ早速練習しようか。」
そう言い兄貴をメアリーの前に立たせる。
「…。」
しかし、案の定というかイクリスは固まってしまった。
ただでさえほぼ面識のないメアリーに、どうやら大分緊張している様だ。
「あの。話って何でしょう?」
一応メアリーもイクリスが話しやすい様に話を合わせてくれている。
「あ、ああ、あの、実はだな…。」
また暫しの沈黙が続く。
「実は、その、俺な…。」
そしてまた沈黙する。
「はぁ。」
とうとうメアリーはため息をついてしまった。
「あの、イクリス兄さんは本気でやってますか?」
突然メイにそう問われてイクリスは驚いている。
「私としては、イクリス兄さんがそんなんなら、ジョージの方がまだメイさんのことを幸せに出来ると思っちゃいます。」
まあ、メアリーからしたら良く分からないイクリスより、昔からの馴染みだというジョージの方が断然信頼しているのだろう。
イクリスもそれを聞いて項垂れている。
「まあ、私はメイさんの気持ちが1番大事だとは思いますけど、そうやってヘタレこんでる人の手伝いをしたいとは思えません。」
そうきっぱりとメアリーは言った。
「そうだよな、俺、心の何処かで婚約者だから大丈夫とか、驕りがあったんだろうな。」
イクリスはそう懺悔しだした。
「なら自分の気持ちを伝えずに逃げますか?」
メアリーはそう静かに問いかける。
「…。
俺はメイがいいならと、思えばメイにばかり責任を押しつけて逃げてばかりだ。
俺も、せめてメイに釣り合う男になりたい!」
どうやら昨日からアイザックとジョージ、そしてメアリーに色々と言われて思うところがあったらしい。
何とも面倒臭い兄貴だ。
「それじゃあ兄貴、もう告白出来るな!」
イクリスはゆっくりと立ち上がった。
そして、メアリーの目を見て真っ直ぐと答えた。
「俺は、メイが好きだ!」
「よし!よく言った!」
こうしてイクリスは無事告白の練習を何回もした。
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