第5話

「ええ!?

告白!?」


メイ姉さんがいつもの如く恋愛相談をしにやってきた為、俺は早速兄のイクリスに告白したらどうかと持ちかけてみた。


「俺としては、兄貴は多分メイ姉さんのことを意識してると思う。

他の女の人の話は聞かないけど、メイ姉さんのことはたまに話したりするしな。」


これは、あながち嘘ではない。

正確には、イクリスはメイ姉さんの話しかしていないが。


「で、でも、急じゃないかしら…?

だって、イクリスは私に対して特に何も話しかけてくれないし、いや、私以外にも話しかけてるところを見たことはないけれど。」


まあ、兄貴は大分コミュニケーション能力皆無だからな、と心の中で同意する。


「そんな私に告白なんてされて、迷惑じゃないかしら?

寧ろ引かれたらどうしよう…?」


振られることは100%ある訳ないのだが、しかしイクリスの野郎もテンパって逃げ出す可能性もあるんだよな…。


まあ、そうなったら俺が捕まえておくとしようか。


「取り敢えず、大丈夫だから、告白しよう!」


メイ姉さんは少し悩んだ末、口を開く。


「分かったわ。

私イクリスに告白してみる!」


そうして翌日、メイ姉さんはイクリスに告白するということで、俺はそれを彼女のメアリーと共に陰から見守る役となった。


「メイさんとイクリス兄さんって、両想いなら見守らなくても上手く行くんじゃないですか?」


そうメアリーは暢気に聞いてきた。


「まあ、普通は上手くいくはずなんだよ、ただあの2人だからなー。」


因みに、メアリーはイクリスともメイともあまり面識がない。


年下だから、まあ当然なのだが。


メイの指定した待ち合わせ場所に、イクリスもやってきた。


「来てくれてありがとう。」


メイはぺこりとイクリスに会釈する。


「あ、あぁ。」


イクリスも手短に返事をする。


相変わらず無愛想である。


(俺の前でなら饒舌にメイ姉さんのことを語る癖に)


「何かイクリス兄さんって随分お堅いんですね。」


メアリーはそうクッキーを頬張りながら言う。


「まあ、大分コミュ障拗らせてるからなー。」


少し沈黙した後、メイが話し出した。


「き、今日はいい天気ね。」


「…そうだな。」


そしてまた沈黙する。


「…あの2人、本当に両想いなんですよね?」

メアリーが不思議そうに質問してきた。


「うん、両想いな筈なんだけどな。」


何故だか俺も不安になってきた。

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