第4話

俺はイクリス、ただ今絶賛弟のアイザックから説教中である。


「何でメイ姉さんから逃げるの?

メイ姉さんからやたら避けられてるから嫌われているのかと相談を受けたんだけど?」


俺は必死に首を横に振る。


「ち、違うんだ!

そう言うつもりではなかったんだ!」


「お、俺は、メイの微笑みをあまりに見過ぎて、まるで天使の様なあの笑顔…


本当にヤバかった!日に日にどんどん可愛くなるし、何だかやたら俺にだけ笑顔で寄ってくるし、あんなに毎日続いたら、彼女の笑顔が眩し過ぎて失明しそうになるんだ!」


「いや、ならねーよ。」


アイザックは思わず突っ込む。


「というか、お、俺にだけな気がしてきて、あんな風にされたら、勘違いしてしまいそうになる!

もしメイが他の男にもこんな風に振る舞ってたらどうしよう!?

もしかして、俺で練習しているのか?

実は他に意中の相手がいたら…」


何でこいつはどんどんネガティブな思考になるんだ?


アイザックは頭を傾げながら、どうしたらいいものかと悩む。


いっそ、どっちかがもう告白しちゃえば、話は早いんだけどなあ。


そう考え、兄のイクリスを少し焚き付けてみることにする。


「あのさ、兄貴、もしその考えがあってたとしたらさ、メイ姉さん、婚約破棄してそいつのところにいっちゃうかもよ?」


「なっ!…そうなんだよな、婚約破棄してもいいという条件なんだもんな…

悲しいけど、受け入れるしか…」


なんでこいつはとことん受け身なんだよ!


「あのさ、じゃあダメ元でいいからメイ姉さんに告白してみたら?」


「こ!こ、こここ告白!?」


「いやどんだけテンパってんだよ?

自分だって告白されるだろ?」


そう尋ねられ、イクリスは首を横に振る。


「お、俺は特にモテてないから、お前と違って。」


いや、あんた学校で文武両道の才色兼備って本当は人気があるのに、普段寡黙すぎて誰も近寄れないだけで、密かにファンクラブとか出来てるからな!?


しかも、俺を通して告白しようとする奴が殆ど。


まあ、兄貴はその様子を見て弟の俺の方がモテると思ってるのかもだけれど、俺はこの方一回も告白されたことねーんだよ!ムカつくなぁ、もう!


因みにおれは、1つ年下のメアリーに一目惚れしてガンガンアタックして現在結婚を前提に付き合ってることを周りに公表してる為、ある意味俺に告白してくるやつはいないだろうけど。


「はぁ、別に俺はモテてないけど、てか、兄貴、もうメイ姉さんに告白しろ!

ぶっちゃけ絶対脈アリだから!

しのごの言わずに告白しろ!」


俺としてはイクリスが正式にメイ姉さんと付き合ってくれれば、もう女どもから兄貴のことを根掘り葉掘り聞かれたり、ラブレター渡してくれと頼まれたりしないだろう。


まあ、本人に直接アタック出来ない女どもを俺は応援する気はないので、大体適当にまいて逃げてるのだが。


「おいおい、告白はまだ早いって!

そんな段階じゃないだろ!もっとこう順番とか!」


「何の順番だよ?」


「まずは上手に挨拶が出来る様になってからとか。」


「そんなん子供でも出来るわアホ。」


本当は男のイクリスから告白させたかったが、ここはメイ姉さんに話を持ちかけるとしよう。

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