第6話
「と、ところで、話って何だ?」
暫くの沈黙の後、やっとイクリスが口を開いた。
珍しくイクリスから先に話題を持ちかけるとは、成長したなぁとしみじみアイザックは感動する。
一方メアリーは展開の遅さに飽きたらしく、近くの野良猫と遊んでいた。
「あ、えっとね、突然呼び出してごめんなさい。
今日は、イクリスに伝えたいことがあって。」
メイはそこまで言って深呼吸をする。
「じ、実は、私ね、
その、えーと、す、すす」
メイの顔がみるみる赤くなっていく。
「好きなの!この中庭が!」
何でだよとアイザックは心の中で激しくツッコミをいれた。
「そ、そうか、俺も嫌いではない。」
イクリスも戸惑った様に返事をする。
「そ、そうなんだ、良かった。
じゃ、じゃあ、またこの中庭でお話しない?」
「あ、ああ、俺は構わない。」
「良かった!
じゃあまた今度!」
「あ、ああ。」
そう言ってメイは走り去ってしまった。
イクリスは訳がわからず疑問顔のまま突っ立っていたが、暫くしてすごすごと帰っていった。
「アイザックごめんなさい~!
やっぱり無理~!」
そうメイはアイザックの元へやってきた。
「あら、そちらのお嬢さんは?」
「初めまして、アイザックとお付き合いさせて頂いてるメアリーです。」
メアリーはそう言ってぺこりと会釈する。
「あら、初めまして、メイと申します。」
とメイもぺこりと挨拶をする。
「2人とも挨拶は終わった?
じゃあメイ姉さん、さっきの告白は何なんだ?」
アイザックはビシッと人差し指を指して質問してくる。
「うぅっ!
だって、本人を目の前にしたら、恥ずかしさと緊張と不安とでいっぱいいっぱいになっちゃって!」
そうメイは縮こまってしまった。
「はぁ、まあ、仕方ないか。」
いくら何でも、告白は急すぎたか。
とは言え、俺はもう何年も前から2人から恋愛相談を受けてるから、全然急ではない、寧ろ遅すぎるとすら思ってしまうのだが。
「どうしたものか…。」
と俺が頭を悩ませていると、隣からメアリーが顔を出してきた。
「メイさんはイクリス兄さんの気持ちが分かれば告白しますか?」
「え?」
突然の質問にメイがびっくりする。
「イクリス兄さんがもしメイさんの事が好きなら、メイさんだって自信が持てるのでは?」
「た、確かにそうだけど、でも、イクリスは私にそんな素振り一度も見せてくれたことなんてないし…。」
「なら、気持ちを確かめてみませんか?」
メアリーにどうやら考えがある様だった。
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