第31話
「みのり様、ちょっとお待ちください」
みのりが王宮を出て少しすると兵士が駆け寄ってきた。
「なんでしょうか?」
「魔王様が直接お話があるとのことで」
みのりは慌てた。
「どんな要件でしょうか?」
「さあ、私はただみのり様を連れてくるよう言われただけですので」
兵士は申し訳なさそうにみのりにそう言うと、みのりはきびすを返した。
王宮はやはり大きい。
一人で入るのは気が引ける。
兵士の案内についていくと、魔王の部屋に再び通された。
「みのり、帰り際に悪かったな」
「いいえ、魔王様」
「レミのことなんだが、少々みのりになつきすぎではないか?」
「そう言われましても、私は特に何もしておりません」
魔王の娘に手を出すなんて、おかっなくてたまらない。
魔王は笑いながらグラスを傾けた。
「レミはみのりと結婚したいと言ってるぞ」
「はい?」
思わず声が裏返る。
「まだレミは若い。結婚の意味がわかっていない」
みのりも頷いた。レミはまだ子供だ。
「みのりは人間界に戻りたいか?」
「はい、戻りたいです」
「レミが一度人間界を見てみたいと言っていてな」
「はい」
魔王がため息をもらす。
「レミは言うことを聞かないのだ、わるいが一日人間界を案内してやってくれないか」
「え、人間界に帰れるんですか?」
「一日だけだ」
「はい」
みのりはそう返事をすると微妙な表情を浮かべた。人間界からみたら極上のゴスロリ美少女をつれて観光することになる。ちょっと緊張する。でも、自分の店の状態も気になる。
何より、魔王の依頼を断ることなど出来ない。みのりは覚悟を決めた。
「それでは明日、レミお嬢様を人間界にご案内します」
「そうか、それでは明日また王宮に来るように」
みのりと魔王はそれだけ話すと、みのりはまた王宮を後にした。
「レミと人間界の見学か。ドキドキするな」
みのりは家へ帰ると、明日の用意をした。
ジーンズにTシャツ。ゴスロリとは合わないけどしょうがない。
「明日は大変だぞ」
みのりはベッドに入ると一人で呟いた。
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