第10話

街の片隅で俺は言った。

「レミ、日常品を買いたいんだが」

「私が一緒ならお金なくても大丈夫よ」

「取り急ぎ、下着とシャツとチノパンあたりを買いたいのだが」

「お父様がお洋服を用意してたけどアレじゃダメなの?」

「バリバリのスーツだったろう?アレじゃ疲れちゃうよ」


「じゃあ、あそこはどうかな?」

レミの指差す先には、量販店の看板があった。

俺たちはその店に入ることにした。


「まあ、レミお嬢様がこんな店に何の御用かしら」

「人間界から来たみのりの服を選んで欲しいの」

「レミお嬢様の頼みとあれば直ぐに用意致しますわ」

俺はレミが超お嬢様だと改めて確認した。

町中の人が挨拶をしてくる。その度にレミは御機嫌ようと挨拶に答えた。


「おまたせしました。こちらなんていかがかしら」

そう言って出された服は可もなく不可もなしと言った感じの白いTシャツ、下着にベージュのパンツ、スニーカーだった。

「みのり、着替えてみる?」

「ああ」

来てみると寸法はちょうどいいし何しろ着心地が良かった。

「似合うじゃない」


「これにして良いかな」

「じゃあ料金は王宮に請求しとくわね」

「ありがとう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る