第6話

「ダメよ、みのりは私のショコラティエなんだから」

お嬢様がそう言うとサブリナは目に涙をためて言った。


「お母さんが病気なんです。チョコレートが特効薬って本で読んだんです」

サブリナは俺のコックコートの裾を掴んだ。

「街でここにチョコレートがあるって聞いたんです。お代はこれで」


そう言うと結構大きなサファイアを取り出した。

ちょっと待て、この世界でチョコレートってそんなに高価なものなの?

「一応あるけど」


俺はお嬢様の様子を見た。

お嬢様は言った。

「お母さんお病気なの、可愛そうに」

「良いわ、特別にみのりのチョコレート分けてあげる」

「美味しいものは人を幸せにするんだから、絶対お病気治すのよ!」


「ありがとうございます」

サブリナは出来立てのチョコレートを手に入れると、森の一軒家を後にした。

「良いとこあるじゃん、お嬢様」

「お嬢様じゃなくてレミと呼んで頂戴」

レミは胸を張って得意げに微笑んだ。

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