第2話

「ねえ、私本物のチョコレートが食べたいの」

「それには調理器具とカカオ豆と砂糖がないと出来ません」

「お父様、聞いた?用意できる?」

「似たようなものなら用意してある」

「さすがお父様」

お父様と呼ばれた方を向くと40代くらいに見える黒づくめの紳士が立っていた。


俺はまだ状況がつかめずに呆然としていた。

「あなた人間でしょ。召喚されたのよ魔界に」


少女はそう言うとクルリと回って、嬉しそうに言った。

「本で読んだあのチョコレートとか言うものがやっと食べられるのね」

どうやら俺はチョコレートの為に魔界とやらに呼び出されたらしい。

「お父様は魔王なんだから。何でも思い通りに出来ちゃうのよ」

少女は誇らしげにそう言った。

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