昨年アルファポリスでこの連載をしてからのこと

 何年も前に、やすらぎさんから「ミケちゃんのこれまでのお話を書いてください」とお申し出があり、「はい、いずれは」とお約束していました。


 でも、水玉がもたもたしているうちに、ミケちゃんのツイッターはどんどん人気になっていきました。今も、フォロワーさんは増え続けています。


 この「ミケちゃん、おはよう」の連載を、アルファポリスで開始した時点でのフォロワーさんは1万8千。

 それが、一年経った今では2万8千と、さらに1万も増えました。


 この8月には、KADOKAWA様から漫画家にごたろさんとやすらぎさんの共著「ミケちゃんとやすらぎさん」も出版されます。

 予約も好調のようで、おめでとうございます。

 このお話は、また後からしようと思います。




 以前からミケちゃんの記事は著名なライターさんによって、Webサイトのフェリシモ猫部(佐竹茉莉子さん「道ばた猫日記」)やsippo(朝日新聞運営)に掲載され、それがまたYahooニュースに転載されたりしていました。

(アルファポリス連載中の2020年8月9日にも、Benesseのねこのきもちweb magazineでミケちゃんは紹介され、その記事もYahoo!ニュースに転載されました。さらには8月18日には、前述のライターさんによるミケちゃんのお見舞いの記事がフェリシモ猫部のサイトにアップされました。)



 それもあって、水玉猫ごときが作品にまとめて書くまでもないんじゃないかと、従来の怠け癖といじけ根性も手伝って、さらに延ばし延ばしになっていました。


 実は、昨年2021年の始めに「4月1日のミケちゃんのお泊り連続記念日から連載開始します」と、やすらぎさんにお約束したのですが、当日になっても1話どころか1字も書いておらず、とんだエイプリルフールになってしまいました。



 それが昨年7月の最終週になって、突然、何かに取り憑かれたように、この連載を思い立ったのです。


 社会が平穏であってさえ、明日は何があるのかわかりません。それなのに、このパンデミック。

 更には、昨今の気候変動。

 いつ、どんな災禍があっても不思議ではありません。

 1時間後、30分後、5分後に確実に命があるという保証など誰もしてくれないのです。 


 今、書いておかなければミケちゃんとの約束が果たせないままになると、その夏の予定を慌てて全部捨て、これまで集めておいたミケちゃんのメモの整理を始めました。我ながら、衝動的だったとしか思えません。



 7月の28日、アルファポリスに作品登録して、7月31日の18時に1話目の「三毛猫はラッキーキャット」を公開しました。


「甲状腺機能亢進症1」にも書いたように、その16分後に、思いもしなかったミケちゃん体調不良のツイートです。


 水玉は慌てました。連載開始直後にミケちゃんに万一のことがあったりしたら、後味が悪いどころではありません。

 以前からお約束していたとはいえ、飼い主のやすらぎさんとは何の打ち合わせもなく、いきなり連載を始めてしまっていたので尚更なおさらです。


 連載を中止し作品自体を取り下げようかと、迷いに迷いました。


 それでも、連載を続けたのは、もしかしたらミケちゃんが「これまで歩んできたこと」を、今このタイミングで書いて欲しかったんじゃないかと、ふと思ったからです。


 単なる思い過ごしかもしれません。単なる偶然かもしれません。あるいは、こじつけかもしれません。

 でも、そんな気がしてならなかったのです。



 8月11日のツイッターで、やすらぎさんが、拙作「ミケちゃん、おはよう!」を紹介した後にこんなことをおっしゃっていました。

「本当に、本当に偶然当時お世話になった病院のスタッフの方が昨日初めてマッサージを受けに来てくださってビックリ(☉。☉)

 ミケちゃんといると奇跡のような事が、普通に起こります」



 8月10日と11日のエピソードは、「手術当日」と「妊娠」。

 ちょうど、その病院のエピソードだったのです。

 出来過ぎなほどの偶然です。

 もし、何かに取り憑かれているのだとしたら、それは猫の妖精か元締めか、猫の秘密結社だったのかもしれません。


 

 行き当たりばったりの連載だったのに、途中から、やすらぎさんがミケちゃんのツイッターで、その日のエピソードの過去ツイートを投稿してくださるようになりました。

 写真や動画を見るのと見ないのでは、まるでイメージが違います。

 そのおかげで、ミケちゃんのフォロワーさんたちが、ツイッターで盛り上がってくださいました。


 ミケちゃんの当初からのフォロワーさんたちとは、今までのことを一緒に振り返ることができ、新しいフォロワーさんたちには、ミケちゃんのこれまでのことを知ってもらうことができました。



 ミケちゃんのツイートの中には、ミケちゃんとやすらぎさんだけではなく、たくさんの猫や人がいます。その一つ一つに物語があります。


 フォロワーさんたちも同じです。

 お一人お一人に別々の物語があって、その物語は他の物語に交差して、ツイッターを通じて新しい物語が更に紡がれていきます。


 フォロワーさんたちの中には、ご自身が闘病中の人たち、ミケちゃんと同じに飼い猫飼い犬が闘病中の人たちもいます。

 その人たちがミケちゃんのツイッターで出会い、励まし合い、時には思いを打ち明け、相談しあう。


 ともすれば悪い面が強調されがちなツイッターですが、なかなか捨てたものじゃないなと実感した一ヶ月の連載でした。


 この連載をアルファポリスで終える時、水玉は以下のように書いて締め括りました。

「いつか、やすらぎさんの撮ったミケちゃんの写真集が紙の本になって、その片隅に『ミケちゃん、おはよう!』が花を添えることができますように。

 そして、一人でも多くの人に、外猫たちの過酷な生活の実態と保護猫のことを知ってもらえますように」


 一年後、ミケちゃんは紙の本になりますが、水玉は不徳の致すところで花を添えることは叶いませんでした。

 



 連載が終わった9月始め、やすらぎさんの所にKADOKAWA様の編集の方から書籍化のオファーがありました。

 今回のにごたろさんによるコミカライズの件です。始めは、水玉も原作で参加というお話だったらしいです。


 でも、水玉に直接お話があったわけではなく、やすらぎさんからツイッターのDMで、スクショとともに聞いただけだったので詳しいことはわかりません。


 当時はアルファポリスのコンテストにも応募していたので、はっきりとはお返事をせず、お茶をにごしていました。

 最終的には「すべて、やすらぎさんにお任せします」としましたが、やはり、役不足と判断されたのでしょう。残念ながら水玉はこの企画から外れてしまいました。

 残念なことは重なるもので、結局コンテストにも落ちてしまいました。それも、もっともなことだと思います。


 さらに残念なことには、これまで大切に築いてきた関係が、誤解や勘違い、言葉不足、擦れ違いから壊れてしまったことです。


 それも、水玉だけならともかく、友人まで巻き込んでしまったことです。

 彼女も表面では何処吹く風を装っていましたが、精神的にかなりダメージを受けたみたいで、心から申し訳なく思っています。

 でも、彼女は明るく強い! 元気いっぱいで多方面で活躍中です。


 水玉は幼少期からのトラウマで強い感情を正面からぶつけられると萎縮しきってしまい、その場限りの言いつくろいをしてしまい、はっきりしないという悪癖があります。


 今回もこれが出て、大切な人たちに迷惑をかけてしまいました。


 それから半年くらいはひどく参ってしまい、この作品を書いたことを後悔したりしていましたが、カクヨムコンに参加したりして気持ちを切り替え、今は書いて良かったと思っています。


 まだ原稿もできておらず予定は未定ですが、ありがたいお話を他からいただけるようにもなりました。


 やはり、書き続けることが何より水玉には必要なのだと実感しています。

 これからはフィクションではなく、ノンフィクションで書籍化コミカライズが実現できるよう、より一層精進していきたいと思います。


 カクヨムでのこの連載は何の告知をしていなかったにも関わらず、見付けて読んでくださる方たちがいて、レビューや星もいただけて感謝しかありません。

 読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます。



 改めて、ミケちゃん、やすらぎさん、出版おめでとうございます。

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