治療室が開くのは、朝8時。
だけど、ミケちゃんは夜明け前から治療室の近くで、やすらぎさんを待っていました。
やすらぎさんも、そんなミケちゃんのことが気掛かりでおちおち寝てもいられず、早朝5時にマンションを出て治療室に向かうようになりました。
野良猫の生活は気ままなように見えて、実はとても厳しいものです。雨風や寒さ暑さ、カラス、猫同士のいさかい、事故、虐待……。危険なことを数え上げたら切りがありません。
ミケちゃんの無事な姿を見るまでは、やすらぎさんは心配でたまりませんでした。
冬の朝。やすらぎさんが自転車でお店に向かう時間は、まだ真っ暗です。
ふと高い塀の上を見て、やすらぎさんは驚いてしまいました。ミケちゃんが器用に3本足で塀の上をヒョイヒョイと歩いているのです。
ミケちゃんは、やすらぎさんの自転車が来るのを待ち
別の朝には、やすらぎさんを見つけて、遠くから走ってくるミケちゃんがいました。やすらぎさんの自転車と並走して、いっしょにお店に到着するミケちゃん。
雨の日には、マンションの駐車場で雨宿りをしながら、やすらぎさんが来るのをひとりでじっと待っているミケちゃん。
そんな可愛く
毎朝ツイートされる写真と無邪気で前向きなミケちゃんのごあいさつは、1日の始まりにふさわしく、だんだんとフォロワーさんを増やしていきました。
たまに、ミケちゃんが姿を見せない日があると、やすらぎさんだけでなくフォロワーさんたちも心配で、その日は気が気ではありません。
一日、あるいは数日経ってミケちゃんが治療室にやって来ると、フォロワーさんたちも、やすらぎさんといっしょにホッと胸をなでおろすのでした。
一頭の三毛猫が毎朝、猫好きな人たちの心を一つにつないでいきました。
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