第10話 プラスティック・ラフ・ライフ

巨大な廃墟が根を下ろしてから何日か経つ。


積令穂高せきれいほだかはまた高校の頃に夢を見てる。


また試験を受けてる。


ふいに印象的なメロディが流れる。


ビリー・アイリッシュの「BAD GUY 」だ。


目が覚めた。


依子よりこがシステムコンポで「BAD GUY 」を聴いてる。


「ごめん、起こしちゃった?」


依子はボリュームを絞る。


「いや、大丈夫、今何時?」腕時計を外したままだった。


「朝10時よ」


「相変わらずあの黒いやつ居座ってるのか?」


耳をすますと低い音がしてる。


「そうね、でも慣れちゃった。フランスパンあるけど食べる?」


「ああ、お腹空いた、食べる」


依子はフランスパンを袋ごと投げてくれる。


フランスパンをかじりながらカーテンを開け、黒い廃墟のようなかたまりを臨む。


ヘリコプターがあちこちに飛び回ってる。


それでもこの世界は回り続けるんだな。


「私買い物してくるね」


そう言って依子はジャージを脱ぎ、下着姿になる。相変わらずスタイルはいいが、腹が少しポッコリしてきたかな?それでも魅惑的なボディ。いかんなその気になってしまう。


依子はジーパンを履き、薄手の青いコートを着て、行ってきまーすと言って出て行く。


そう今「新撃人類」という本と「エヴァンゲリオン」の漫画版にハマってる。


ベッドの上の棚に並んでるので手を伸ばして読む。


本を読んでるだけってのも能がない。外に出たくなる。


少し17歳に戻るかな。




気付くとバスの中の左の一番後ろに座ってる。


多分道端駅行きだろう。


夏の学生服を着てる。


途中の停留所に止まり、金髪のお人形さんみたいなセーラー服の美少女が乗ってくる。


触れたら折れそうなほど痩せている。


はて?どこかで会ってるような気がする。


美少女は目の前に来て「積令君おはよう」と言い天使のように微笑む。


2021(R3)3/29(月)

















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