第24話 次回作
次回作の構想がほぼ纏まりつつある中、ビーチェと久し振りに会う機会が訪れた。
向こうも公爵令嬢としての習い事や社交に忙しいらしい。社交と言ってもまだ13歳でデビュタントも迎えていないので、お茶会に参加するくらいなんだそうだ。ちなみにこの国では15歳でデビュタントを迎える。
「あんなもたまには社交に出なさいよ。今から顔繋ぎしておくの大事よ?」
「気が向いたらね」
今はそれどころじゃない。
「はぁ...まぁいいわ。ところで次回作決まったんだって?」
「うん、決まった。これ」
「どれどれ...『聖女の証言』って、まさかの推理物!?」
推理物は読む物です。書く物じゃありません。あくまで私の中の話ね。
「違うよ。これは『証言シリーズ3部作』の1作目で、この後に『悪役令嬢の証言』『ヒロインの証言』って続く予定」
「あんたねぇ...処女作の映画のタイトルの時も思ったけど、この世界の人達が私達の世界のことを知らないからって、いくらなんでも好き勝手やり過ぎじゃないの?」
「オマージュのどこがいけないのよ?」
「オマージュって言い切りやがったよ、この女...」
うん、やったもん勝ちだもん。テヘペロ♪
「でね? これ見て?」
「これは履歴書?」
「うん、この作品の女優オーディション応募の」
「レイラ...コイツはアホか?」
「ね? 笑えるでしょ?」
「ちゃんと15歳以上って書いてあるのに、コイツは字も読めないとみえる」
「15歳以上とは書いたけど、実際に選ぶのは17、8歳くらいの人を選ぶ予定」
「ストーリーに合わせて?」
「そう、これは冤罪を着せられて聖女の座を追われ、国外追放になった聖女のその後と、聖女を蔑ろにした人達が辿る末路を描いた物語。聖女は成人してないと説得力ないでしょ?」
「確かにそうね。ちなみに追放された聖女はどうなるの? 聖女を追放した人達は?」
「聖女は隣国で新たな聖女として温かく迎えられ、その国は危機に瀕した時、聖女の力のお陰で救われる。一方、聖女を追放した人達の国はバチが当たって滅びるっていう王道のストーリー」
「これ以上ないってくらいの王道だわ」
「でしょ? 今回の目玉はね、滅びゆく国の象徴として王宮が火に包まれるってシーン」
「燃やすの?」
「燃やすよ。セットだけどね。この世界、消防署に届けを出すとか面倒なことしなくていいから助かるわ」
「確かに消防署も消防法もないけどさ、大丈夫なの?」
「我が家の敷地内でやるから大丈夫」
「たき火じゃないんだから...まぁでも、そのシーン撮る時見たいかも。見学させてよ?」
「あぁ、そうだった。その話もしようと思ってたんだ」
「えっ!? なに!?」
「ねぇ、ビーチェ。ウチのプロダクションに入らない?」
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