第18話 新たな試み

 映画が公開されて一週間が過ぎた。


 連日超満員とのことで、嬉しい限りだ。リピーターも多いらしく、中には毎日来てくれている人も居るとのこと。本当にありがたい話だ。


 そんな人達をもっともっと惹き付けるためにも、次の作品を早く仕上げる必要がある。次回作も私の作品にするつもりだが、それ以外にも新たな試みとして、原作や脚本の一般募集を考えている。


 在野に埋もれた才能を開花させてあげようと思っている。映画化出来そうな作品があったら積極的に登用するつもりだ。新しい風が吹き込むことで、私自身の刺激にもなるだろうし、それで更に収益が増えれば万々歳だ。いずれはプロダクションを立ち上げることも視野に入れている。


 そのために、スタッフの育成にも力を入れている。今回は私が原作、脚本、演出、監督、プロデュースの全てを熟したが、今後は分業していくつもりだ。じゃないと私の体が持たない。


 手始めとして、映画公開の一ヶ月後に、今回の映画のメイキング映像を同時上映という形で公開しようと思っている。前世の映画DVDに特典映像として良く載っているアレのことだ。


 未公開映像やNGシーン、キャストやスタッフのインタビューなどを編集して見られるような形にする。それをスタッフの中から監督を志願する者にやらせている。経験を積ませて行く行くは映画を撮って貰おうと思っている。ちなみに私もインタビューされた。


 公開から一ヶ月も経てばさすがに落ち着くだろう。その時に同時上映として公開出来れば、一本の映画料金で二本見られることになるので、お得ということでまた話題になることを期待している。


 映画のために書き下ろした脚本を書籍化することも考えている。原作小説とはまた違った趣があるので、原作ファンの人にも十分楽しんで貰えると思う。


 そんなこんなで慌ただしい毎日を過ごしていたある日、


「えっ? この名前って!?」


 次回作の脚本作りに苦戦していた私は、気分転換に一般募集を掛けた作品に目を通していた。その内の一つ、作者名がベアトリーチェとなっている。


「もしかして公爵令嬢のベアトリーチェ様!?」


 作者のプロフィールを読む。間違いない。シリウス王太子の婚約者候補の一人だ。しかも本命と言われている人だ。そんな人がなんでまた?


「取り敢えず読んでみるか」



~ 一時間後 ~


「なんてこった...」


 作品を読んで確信した。ベアトリーチェ様も私と同じ転生者であると。


「私以外にも居たなんて...」


 ベアトリーチェ様と早急に会う必要がある。そう思った。

 

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