第7話 男爵令嬢レイラ
なんでヒロインはピンクの髪なんだろう?
疑問に思いながらも、そう言えば自分の作品のヒロインもほとんどがピンクの髪だったなぁってことを思い出す。何か別の力が働いているかの如くピンクの髪にしていた。今思い返してみても不思議だ。なんでピンクにしたんだろう?
だからこの世界でもヒロインはピンクの髪...なんだと思う。11番目で変えていなければだけど。つまりこの少女がヒロインちゃんということに...
「レイラか。僕は疲れたからもう少しここで休むよ。みんなには適当に言っといて?」
「またそんなこと言って! 今日の主役はシリウス様なんですよ? 皆様に示しがつかないじゃないですか!」
「あぁ、騒がしくてごめんね? この娘はフォーレット男爵家のご令嬢でレイラ。レイラ、こちらはスミルノフ公爵家のご令嬢でエカテリーナ。二人とも仲良くしてね?」
名乗った覚えは無いのだが、さっき挨拶したのを覚えていたんだろうか? だとしたら凄いな! あれだけの人数に挨拶されていたのに! 私には絶対無理だ。
「そんなことどうでもいいですから、さっさと戻って下さいよ!」
「レイラのお母さんは僕の乳母だったんだ。だからレイラとは乳兄妹として一緒に育って来たんだよ。レイラは僕の侍女になりたいって言って、この年齢から修行してるんだよ。偉いよね」
「お願いだから話を聞いてぇ~!」
「あ、あの王太子殿下。お戻りになられた方がよろしいかと...」
多分ヒロインちゃんが涙目になってるから、戻ってあげて!
「はぁ~...分かったよ...君がそう言うなら...」
フゥ...やっとキラキラオーラから解放される。私がホッと胸を撫で下ろしていると、多分ヒロインちゃん...もうヒロインちゃんでいいか...と目が合った。
「ひぅっ!」
思わず変な声が出た。だってヒロインちゃんが親の敵を見るような目で睨み付けて来るんだもの。
なんだか良く分からないが、私はヒロインちゃんに敵認定されたようだ...
◇◇◇
結局、どのパターンでもなかった。主人公とヒロインは幼馴染みというか乳兄妹だった。さっきのやり取りを見ても気の置けない間柄だというのは良く分かった。
そんなヒロインちゃんに敵認定されたなんて面倒事の予感しかしない。さしずめ私は幼馴染みの仲を引き裂く悪役令嬢って立ち位置になるんだろう。
冗談じゃない!
私は関わらないから二人で勝手に仲良くやってくれ!
その私の思いは叶うことなく、これからも主人公とヒロインに振り回されることになるのだが、この時の私に知る由はなかった...
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