第22話 美人姉妹よ永遠なれ

 ベルナンドとジルベルトの二人が急を知らせに来てくれた。


 事前に泊まる宿を知らせておいたので、すんなり合流出来たのだ。


「ベル、ジル、ご苦労様。これで証拠も証人も揃ったわね」


 そう言ってアイシャは、アミとユミの二人の方へ目を向けた。実は当初、この二人は領主邸の本館に匿うつもりでいた。だが、直前になって気が変わった。王都に連れて来た方が証人としてすぐ証言させられると思ったからだ。このまま一気に王子達を追い詰める。アイシャとトリシャは気合いを入れた。



◇◇◇



 アイシャとトリシャが到着したと聞いて、トリスタンとランドルフは急いで客間に駆け付けた。ようやくあの二人が自分達のモノになる。そう思うと興奮を隠し切れなかった。そしてドアを開けた二人は、奈落の底に突き落とされることになる。


 そこに居たのはアイシャとトリシャだけでなく、キスリング伯爵にベルナンドとジルベルト、そしてなんとアミとユミまで居るではないか。


「おい、これはどういうことだ!? 俺達が呼んだのはアイシャとトリシャだけのはずだぞ!?」


「どういうことかというのは儂も是非聞きたいな。儂に黙って勝手に王命を出すとはどういう了見だ?」


「ち、父上! なぜここに!?」


「陛下と呼べ! バカ者がっ!」


 そこからは早かった。アミとユミの証言により爵位詐称の罪が、ベルナンドとジルベルトの証言により殺人教唆の罪が暴かれると、トリスタンとランドルフの二人はその場で拘束された。


 王族の籍からも抜かれ、一般人になった上、裁判で裁かれることになる。恐らくは犯罪奴隷として一生過ごすことになるだろう。


 愚息が申し訳なかったと頭を下げる国王に恐縮しながらも、アイシャとトリシャはお互いのパートナーと手を取り合って笑みを浮かべた。



◇◇◇


 

 三ヶ月後、アイシャとジルベルト、トリシャとベルナンドの合同結婚式が盛大に行われた。キスリング伯爵が号泣しているその側に、大きくなり始めたお腹を擦る夫人の姿がある。更にその隣にはアイシャとトリシャの専属侍女となったアミとユミの姿があった。


「ねぇ、トリシャ。色々あったけど」


「終わり良ければ全て良しですね」


 そう言って笑った二人の笑顔は、真っ白なウェディングドレスが霞むような美しさだった。 



~ fin. ~

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美人姉妹の憂鬱 真理亜 @maria-mina

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