第17話 朗報

 アミとユミの二人は領主邸の離れに保護することにした。


「ここを自由に使って貰って構わないわ。使用人達にもそう伝えておくから。ただし、私達の許可なく外に出るのは禁止。良いわね?」


「「 わ、分かりました... 」」


 二人は落ち着かないのか、ソワソワしている。いつまでここに軟禁されるのかも分からない状況なのだから無理もないだろう。


「庭師はここに近付けないから安心して。ただ、あなた達がベルとジルを落としたっていう建て前になってるから、庭師の見てる前でたまに仲良しアピールはして貰うけどね」


「「 は、はい... 」」


「あくまでフリよフリ。本気で口説いたりしたら、どうなるか分かっているわよね?」


 アイシャとトリシャの目が獲物を狙う肉食獣のように怪しく光った。アミとユミはそれだけで震え上がる。


「「 Yes,Ma'am! 」」


「ん、よろしい」



◇◇◇



 一方その頃、王宮では二人の王子が作戦成功の知らせに安堵していた。


「さすがは一番、二番人気のキャバ嬢だな! 首尾良く仕留めたか!」


「えぇ、身分詐称させてまで送り込んだ甲斐がありました!」


「証拠は残していないな?」


「もちろんです。抜かりはありません」 


「良し。なら大丈夫だ。たとえあいつらが騒ぎ立てても、証拠が無いんじゃ言った、言わないの水掛け論になるだけだからな。こちらの思う壺だ。それと分かってると思うが、作戦が終了した暁には...」


「えぇ、速やかにご退場頂く手筈は整っております」


「お前はまた新しい店を探すようだな」


「そうですね」


「そこは否定しとけよ!」


 そう言って嗤った二人の王子の顔は、まるで悪魔のようだった。



◇◇◇



 キスリング伯爵は自室で娘達からの知らせを受けて、怒りに顔を歪ませていた。


「あのバカ王子ども...ここまでやるか!? これは早い所なんとかしないと、取り返しがつかなくなりそうだ...」


 二人の王子はろくでなしだが、幸い国王陛下はマトモな方だ。口頭の指示のみで証拠が無いのは痛いが、まずは状況だけでも先に伝えておこう。


 そう思って席を立った時だった。


「あなた...」


 妻がモジモジしながら部屋に入って来た。


「どうした?」


「出来ちやったみたいなの...」


 妻の顔がほんのり赤く染まる。


「ほ、本当か!?」


「えぇ、間違いないってお医者様が...」


「でかした!」


 伯爵は妻を抱き締めた。これでやっとすっぽん地獄から抜け出せる! 伯爵の目には涙が浮かんでいた。まだ男か女かも分からないのに...

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