第7話 新キャラは最初無双する

「さあ、今日もガンガン行こ―!」


 ルミアの元気は衰え知らず、今日も俺達のパーティーを先導していた。


 俺がリーダーなんだけどな…まあ一応だけれど。


「ちょっと待ってくださいルミアさん、急ぐとろくなことになりませんよ」


「え~、どうしたのリル~? もしかして疲れちゃった?」


 ルミアがリルのショートヘアをわしゃわしゃする。いつからかは知らないがこの2人は短期間で仲良くなったようだ。


「疲れてません、疲れてませんよ! ここはダンジョンなんだから用心しないと危ないんだっていうことです!」


 リルの敬語癖はやっぱり抜けない。


~~~


「リル、俺達はもうパーティーメンバーなんだから、敬語でしゃべるのをやめたらどうだ? あとリアム様って呼ぶのもやめてくれ、なんかもぞもぞする」


「わかりまし…いえわか…った」


 顔を真っ赤にしてたどたどしく返事をしていたリルだったが…


~~~


 やっぱり直っていなかった。最初は照れてるのもかわいいなと思っていたが、やっぱり敬語はむず痒い。


「はっはは! やっぱりリルはかわいいなあ」


 ただ、ルミアはその限りでもないらしい。そして俺がそれをむず痒く思っているのを、多分ルミアは気づいていない。


「それじゃ、行くよー!」


「あの、さっき言ったことに関して何も改善が見られないのですが…」


「まあいいんじゃない、リル。たまにはこういうのも」


 俺が軽くルミアをフォローすると、


「あなたがそういうことを言うときは大体死にかけるんですけどね」


 はい立った、死亡フラグ。


☆☆☆


「ランドシールド!」


「おりゃー!」


「ヒール!」


「グアアアアアアアアアアア!」


 防御、攻撃、回復。連携の取れた一連の攻撃。今までの俺たちの戦い方より大きく飛躍した立ち回り。俺は不思議と満足感を感じていた。


「ふう、ここら辺のモンスターは一掃できたかな…ん?」


 ズン、ズンと大きな足音が響き、地面が揺れる。ふと顔を上げると、そこには天井にも届きそうなくらいの巨大なケンタウロスが立っていた。


 思考停止。もう一度見てみる。そこには天井にも届きそうなくらいの巨大なケンタウロスが立っていた。


「…逃げて!」


 声が聞こえた時にはもう遅かった。衝撃。爆風。吹っ飛ばされ、壁にたたきつけられる。理不尽な暴力。


「ケホッ!」


 血を吐く。急いで自身の回復を始める。しかしあのケンタウロスはどうする。俺らが頑張って勝てる可能性はかなり低いだろう。


 だが…


「こいつは任せて! リアムとリルは援護をお願い!」


 傍から聞けばフラグにも聞こえるような言葉。だが、今のルミアはとても頼もしく見えた。


「お、おう!」「分かりました!」


 俺とリルがケンタウロスの左右にそれぞれ回り込むと、ルミアが詠唱を始めた。


「空を覆う雲よ、空を駆ける電流よ、万物を焼き切る雷槌を堕としたまえ。…」


 普通の魔法に詠唱は必要ない。ただ、魔法の名前を言うだけだ。しかし一部の上位魔法には詠唱が必要になる。このような魔法は詠唱の長さと威力の強大さゆえにあまり使われない。しかしその威力は間違いない。ルミアの詠唱は、一文字一文字を紡ぐごとに、周囲の魔力がルミアに向かって流れていくのを感じる。今までに見た魔法とは格が明らかに違う。


「…地よ爆ぜろ、風よ焦げろ、今ここにすべてを結集させよ。スパーレイティブ・ライトニング・ストライク!」


 ふたたびの衝撃。今度は何とか踏みとどまる。次の瞬間、視界が突然真っ白になり、目を焼き切りそうなほど強い光が視界に飛び込んできた。


「…っ」


 焦げ臭いにおいとともに、落下地点周辺が土煙の煙幕に包まれる。少しずつ視力も戻り、土煙も晴れてきた。


「やったか!?」


 言って、しまった、と思う。


「グゴアアアアアア!!」


 大体やったかって言ったときはやれてないという定番のルールを忘れていた。怒り狂ったケンタウロスが四方八方を突進するように駆け巡る。その目がついに俺達をとらえた時…


「ウィンド・カッター!」


 文字通り目の前のケンタウロスの首が飛ぶ。頭をなくしたケンタウロスはゆっくりと前かがみになって…


 俺達に覆いかぶさってくるように倒れてきた。


「あわわ! 来てる、来てるよ! 逃げて!」


 ドガーン。倒れた衝撃で軽い地震が起きる。つまり…


「倒した…のか…」


 しかし次の瞬間、俺の視界は上を向く。ルミアが飛びついてきたのだ。


「やった、やったよリアム! 倒したよ!」


「いて、いてててて…お疲れ、ルミア。ルミアがいなかったら絶対やられてたよ、ありがとう」


「いやいやー、それほどでも~。代わりに、今日のお肉私の分増やしてくれてもいいんだよ~」


「「いや、それはお断りします。代わりにホウレンウソを」」「あげるよ」「あげます」


「2人して同じ答えやめて! そしてホウレンウソは私も嫌だから押し付けないで~!」


 死境を乗り越えた割には、とてつもなく元気な俺達であった。


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今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

更新遅くなってすみません…ゴメンヨ

妙に長い術式出てきましたがその場の思い付きなんで今これを書いてるときには術式なんて覚えていません。オボエテモイミナインダヨ


次回は少しルミアの過去にも触れつつパーティーとしてまた成長していく様子を書ければいいなと思っています!

次回もよろしくお願いします!

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我、フラグ回収屋也。 りゅう @Ryu_AKM

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