第6話 個性あふれるメンバー①

「こんにちは! パーティーメンバーを募集しているところはここで合ってますか? 私は攻撃術師のルミア=ミミオナです! よければ私をパーティーに入れてほしいのですが!」


 青髪のポニーテール、青い目。これはまた元気な奴が来たな。うちのリルは静かなタイプだからやっぱりパーティーは個性的であってこそだなと思う。ちなみにそのリルは俺の背中にぴったりだ。


「いいけど、一応レベルを教えてくれる…?」


「レベル21です! よろしくお願いします!」


 わーお、高いな。村を出た時から俺達もレベルを上げたがそれでも俺は17、リルは20である。そういえばカルグーレさんっていくつなんだろ…


「わかった、とりあえず今日1日パーティー組んでみて決めさせてもらってもいいかな?」


「構いません!」


 とても自信満々といった感じだ。よっぽど魔法の精度に自信があるのだろう。正直術者は何人いても困ることはないのでありがたいのだが、まあ一応。一応だ、やばい奴とか来ると困るし。


「わっかりましたぁ!それじゃ、行きましょー!」


 眩しいくらいに元気だなあ。誰とでも仲良くしてきたんだろうなあ。そんな小並な感想を抱きつつ俺はルミアなる少女についていくことにした。


☆☆☆


「ふう、ここまでくればモンスターを狩るにはいいんじゃないかな!」


 俺達はルミアに連れられて洞窟ダンジョンの奥のほうへと来ていた。


「そこら中で獣の鳴き声がしますが…打つ手は考えてあるんですよね?」


 リルとルミアはこの短時間の間にちゃんと打ち解けたようだ。正直心配していただけに、よかったと思う。


「もちろん! まずは手始めに…お前から! サンダーボール!」


 攻撃魔法も使う俺から見ても明らかに段違いな魔法。ルミアは、魔法の才能があるのだと思う。


「この調子でどんどん行くよー!」


☆☆☆


「逃げろー! 撤退、撤退!」


 前言を修正させてもらおう。ルミアは確かに凄腕の術師だ。だが、少し敵の量を見誤ってしまった。俺達は今…


 獣の行列を先導している。


「うわあああああ! やばいやばい、これ死ぬって! 間違いなく死ぬ奴だってぇ!」


「逃げる時くらい静かにしてください! ここで生贄になってもらいましょうか?」


 相変わらずリルはこういう時機嫌が悪くなる。そして怖いこと言うのやめてください、そんなことしないよね、え? しないよね?


「はっはは、やばいねー、これ、逃げ切れるかなー?」


 相変わらずルミアは能天気だ、でもこういう時は助か…いや、気を抜くと大変な目に合うのは俺が一番よくわかっているはず。


「ああ、でも今は気を引き締めよう。油断は禁物だ」


「そうだね…ファイアウェーブ!」


 文字通りの火の波が獣たち目がけて放たれていった。それに焼かれて力尽きる奴にそれらの屍を超えてくるもの。ここはまさに戦場であった。リルは広範囲の魔法攻撃に感激し、ルミアは称賛に照れた様子を隠せない。ただ、俺はルミアが一瞬見せた悲しみに近い感情がとても気になって仕方なかった。


「はあ、はあ、ようやく全部倒せた…いやー、ごめんね? 大変だったね」


 こいつは自分が仲間を死に追い込もうとしていたことをあまり自覚していないようだ。それを言おうと思ったが、そのモンスターのほとんどを自分で討伐していたこと、そしていつもの俺も大差ないこと、俺にはルミアを詰る権利はないように思えた。


「いや、お疲れさま。ルミアがいなければ本当に死んでいたよ。ありがとう。それで、パーティーの話だけど…」


「…」


 ごくりとつばを飲み込む音が聞こえる。リルはあくまで今回のことに関しては無干渉を決め込んでいるのか、一言ですら発する様子もない。


「ぜひ、お願いしたいかな」


 静寂。


「やったー! これからもよろしくね!」


 やっぱりルミアは元気だ。こういうのもいいだろう、と思いつつ、今日も1日が終わった。


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今回もお読みくださりありがとうございました!

今回はパーティーに新メンバーが加わりまた騒がしくなりそうな感じで終わったわけですが…

次回は思いっきり戦闘回にしますね!楽しみにお待ちください!

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