第96話 次の目的地
ギースとの戦いを終え、俺達はオメガへと戻った。
シグマの充電が切れてるので、8時間程は行動が出来ない。
その間にこれからの行動目標を決めたり、爺ちゃんが言ってたシグマ以外の高軌道ゴーレムの情報を、確認したりする事にした。
俺とフィルは、爺ちゃんんが旅立ったことをアイシャに伝えた後で、ギースとミルキーの墓を建ててやりたいと思った。
場所は…… 俺もギースも孤児だったから、正確な出身地なども解って無いし、ハルクの墓の隣に墓石だけ作ろうと決めた。
メーガンは、これからの事を考えると、今、俺達が揃っている状況の時に、全ての聖遺物を見つけ出して、ギースの様なイレギュラーで聖遺物を手にする事による、世界の混乱を防ぎたいと提案した。
ジュウベエとレオネアは、メーガンと被るけど、自分達の武器の覚醒をさせたいと言った。
ガンダルフは「この船でシュタット爺ちゃんと過ごした短い時間では、転移門の作り方だけしか分らなかった」と言った。
「えっ? 転移門作れるのかよ?」
「材料は必要だぞ?」
「それってなんだ?」
「ミスリルとオリハルコンは大量にあるから問題無いが、『クラーケンの粘液』が必要だ」
「どこに行けば手に入る?」
「海だな」
「大雑把すぎて解らん」
ガンダルフとのやり取りを聞いていたジュウベエが、口を開く。
「クラーケンなら、またアケボノに戻る事になるが、アカシの街の沖合にあるウズシオに現れるぞ」
ジュウベエの発言で、次の目的地は、まず一度ユグイゾーラでアイシャに爺ちゃんが旅立ったことを伝えて、それからアケボノ国のアカシの街を目指す事に決まった。
転移門さえあれば、それぞれが別行動をしていても、すぐにオメガに集合できるようになる利点は大きいから、最優先事項になった。
今後の行動は、状況によって変わって来るとは思うが、周辺各国の草刈り場状態になっている、帝国の状況が大きく反映される事になるかも知れないと、漠然と思う。
そんな事を考えていると、メーガンの魔導通話機にボルビックからの着信があった。
メーガンが受け答えをしているが、詳細は解らない。
5分程の通話を終えて、メーガンがみんなに伝える。
「私は、暫くこの国に残る事にします」
「どうしたんだ?」
「次の帝国の政府が決まるまで、帝都の保護を頼みたいと言われました。帝国の一億人にものぼる民が、無政府状態の中で生活をしていくのは大変厳しい状況です。少なくとも私が帝都に居れば、帝都に攻め込む勢力は無くなるでしょうから、別に何もしませんが、ただギルド本部の中に居てくれと頼まれました」
「そうか、そう言う任務だと確かにメーガンが一番適任なのかもな」
「解った。迎えが必要な時はいつでも連絡してくれ」
「カイン。無振動馬車は借りていても良いですか?」
「ああ、構わないぞ。俺は馬車だけ持ってても、しょうがないしな」
「それでは私は馬車で帝都に向かう事にします」
「気を付けろよ」
メーガンを送り出した後で、何気にアルファに聞いてみた。
「もしかしてアルファって、他の古代遺跡の場所知ってるのか?」
「お答えします。オメガのドックがあった場所は、第7ドックです。第1から第6のドックは、場所を表示する事が可能です。第8以降のドックがあった場合は、情報のインプットがなされていません」
普通に知ってて吹いた……
この大陸の地図が表示されたが。1万年以上も前の遺跡なので、現代の世界地図とは若干地形の違いが見られる。
表示された、ドックと呼ばれる古代遺跡の分布を見て、レオネアが呟く。
「通商連合国の古代遺跡は第3ドックだったんだね。恐らく、最下層はまだ、発掘されて無いと思うけど、高軌道ゴーレム? シグマみたいのがもし居たら、結構ヤバいよね」
「レオネアが遺跡の発掘に協力した時点で、結構な数の魔導具は発見できたんだろ? それが手つかずで残ってた時点で、最下層も手付かずで残っている可能性が高い。行くべきだろう」
「でもさ、あの遺跡は通商連合国が厳重に出入りの管理をしていて、内部から物を持ち出すのは難しいよ?」
「そうなんだ。それなら他の遺跡から調べて行くのが良いかな?」
「そうだね。Sランクダンジョンと古代遺跡はどっちの方が手が掛かるのかな?」
「どうだろ? 面倒なのはダンジョンかな?」
「それじゃぁさ、僕の希望を言っても良いかな?」
「俺は構わないが、ジュウベエはどうだ?」
「おう。レオネアの希望であれば叶えてやりたい」
「サンキュー、ジュウベエ。えーとね、僕は第2ドック。魔国の古代遺跡に行きたい」
「魔国か…… 面白そうだな。フィルとチュールは構わないか?」
「うん。カインが行きたいとこならどこでもいい」
「私もカインお兄ちゃんに、お任せだよ」
「なら決定だ。まず一度ユグイゾーラに立ち寄る。その後はアケボノ国のアカシだ」
こうして次の目的地は決まった。
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