大陸ボス解放への道その1
アル:お兄ちゃん、そろそろ新大陸が解放されませんかね?
カーボン:そうだな、そろそろこの大陸のボスと戦うくらいにはギルドポイントがたまってる
アル:戦いましょう! 是非戦いましょう! お兄ちゃんと私の二人でボッコボコにしてやりましょう!
アルはやる気満々だ、しかしその前に一つの大物クエストが残っている。
カーボン:さて、ボス挑戦前に一つ解放条件をこなさなければならないわけだが……
アル:なんですか? しなくちゃならないことがあるんですか?
カーボン:ああ、討伐クエストがある。
そう、大陸のボスを守る四天王がいる、そいつらを倒すのがボス戦解放の条件なのだが……
カーボン:ボス前の四天王を倒すクエストだが……
アル:嫌に濁しますね? そんなに強い敵と戦うんですか?
カーボン:ボス自体は俺たちのレベルなら雑魚だぞ、問題はその居場所だ
アル:居場所?
そう、このクエスト学業といわれた一番の原因……それがボスの居場所にある。
カーボン:東西南北に四つあるダンジョンの最下層にいる中ボスを倒す必要がある、ちなみに東西南北というのはマジで大陸の端から端までだ
アル:は? いやいや、
カーボン:ご名答、マジで移動量が多いんだ。だからこのクエスト実装時ものすごく不評だったんだ。結局クリア済みギルドに入れば倒す必要がないから戦った人が少ないんだ
アルは悲しむモーションをしてから怒っている。
アル:なんですかその苦行!? ポータルとかは……
カーボン:一度行った場所にしか開けないだろ? 俺はこんな面倒なクエストやったことがないぞ
アル:マジですか……端から端までって割とキツいんですけど……大仕事ですね
そう、ポータルの仕様的に一度クリア済みのメンバーがいればポータルを開いてダンジョンをクリアするだけで済む。もっともクリア済みの仲間がいるなら戦う必要すら無いという矛盾をはらんでいる。
よって今から討伐するには無駄に広いマップを隅々まで回らないといけない。これが不評だった理由だ。
カーボン:まあ往路だけ行けば復路は
アル:実装した人は何を考えてたんでしょうね……
カーボン:多分新大陸のコンテンツが貧弱だったから出来れば行って欲しくなかったんだろうな
アル:大人はきたないですね
そんな裏の事情はさておいて、四天王をぶっ倒すのは非常に面倒くさいということは通じただろう。ボス自体の強さはともかく、ただ単に面倒なことこの上ない実装だった。
カーボン:ちなみに朱雀、玄武、青龍、白虎がいるけどどこから攻略する? 難易度はどれもそう変わんないぞ?
アル:なんで西洋風のフィールドに突然アジアの伝統をぶち込みますかね……雰囲気って者を知らないのでしょうか
カーボン:まあこの四体って定番感があるからな、考えずに実装する時に権利関係気にする必要が無くて楽なんだろ
世界のフリー素材と化している神々、お手軽なシステムだった。ついでにいうなら完全に名前負けしているスペックしか持っていないボスだった。
アル:どこでもいいからさっさと始めましょう、時間は有限なのですから私とお兄ちゃんが一緒にプレイできるのが夜だけですしね
カーボン:んじゃ一番ダンジョンが楽と評判の玄武から行くか。実装当時はクソ雑魚亀さんってあだ名だったぞ
気の毒な敵キャラだった、運営の都合でクソ雑魚スペックにされた玄武くんかわいそう。
と行っても始まらないのでさっさと町の外へのポータルを開く。
玄武は北にいるが、
アルも後から続いて飛び込んできたのでジャンプ後にポータルを閉じる。
アル:で、ここからどの辺まで行けばいいんですか?
カーボン:小マップ10個分くらいかな
安定のめんどくささだった、徒歩しか方法が無い以上マップ1個あたり10分くらいで端から端までいけるのでボスのダンジョンまで直行することが出来ない人たちにはすこぶる評判が悪いのも納得だろう。
アル:うへぇ……クソ面倒くさいですね……
気持ちは分かるが戦うしかない相手なんだよな、残念だが新大陸の解放には四天王プラスボスの討伐が条件になっている。
カーボン:一応裏技としてクリア済みの人を仲間に入れると開放されるがそっちの方が良かったか?
アル:いや、お兄ちゃんとの愛の巣に誰かを入れようとは思いませんね
カーボン:その表現はどうかと思うがとにかくそうなるとボスを全部倒すしかないな
アルはため息をついてダッシュのコマンドを使った。
俺たちは北方向にキャラを向けて自動で走り出した、マップ移動しようかという時点で分岐に引っかかって壁に向かって走り続ける状態になってしまった。
カーボン:アル、方向転換しておけよ?
反応が無いのでスマホでメッセージを送っておいた、少しして手動のダッシュに切り替えてマップを超えていった。
そんなことを十マップ分ほど繰り返した後、ようやく俺たちは玄武の地下ダンジョンにたどり着いていた。
アル:さすが亀ですね、いかにもじめっぽいところに住んでます
カーボン:一応ボスなんだから地下にいるのは良くあることなんじゃないか?
ボスは地下深くか天高く伸びた塔というのがRPGの定番だ。それに習ったのかは知らないが玄武のダンジョンは地下へとどんどん伸びていた。
カーボン:じゃあ行くぞー
アル:はーい
気の抜ける合図とともにダンジョン攻略が始まった、とはいえ特にピンチになることもなく、雑魚をペシペシと叩いて潰しながら先へ先へと進んでいく。しばらく行ったところで大仰な鉄の扉が現れた。
アル:ボス部屋ですか……ここまで手間かけさせたんですからそれなりに強くないと腹が立ちますね
カーボン:気持ちは分かるが俺たちのレベルを考えてみろ
四天王の推奨レベルは25、俺たちのレベルではあまりにもオーバーキルだ。
玄武の間を開きますか?
はい
いいえ
選択肢が表示される、やはりここがボス部屋というのは間違いないな。
俺は呑気にはいを選んで玄武の間に突入する、送れてアルが入ってから入り口にバリアが張られ突入と離脱を封じられる。
玄武:なんだ、部下どもが大騒ぎしているかと思えば人か、たかだか人間ごときを恐れるとは魔族の恥だな。しかし部下達が世話になったようだ、我が直々に手を下してやろう
その言葉とともにアルに向けてヘイトが飛ぶ、挑発を使ったようだ。
バス、ボコッ
雑魚敵よりは音に迫力があるが悲しいことに迫力があるだけで実力が追いついていない。アルのHPゲージはまったく変わっていない。
アル:お兄ちゃん、可哀想になってきたんでさっさととどめを刺してあげましょうか?
カーボン:そうだな、どうせ来るたびにポップするボスなんだしさっさと倒してやろう。
バッシュを使用します
ドゴッ
鈍い音とともに玄武のHPゲージがあっという間にゼロになった。
玄武:グアアアアア……人間ごときがああああ……
そんな情けない断末魔の叫びを上げながら光となって消えていき、後にはダンジョンの外へのポータルだけが残った。
アル:お兄ちゃん……?
カーボン:なんだ?
アルは怯えるモーションとしながらチャットを流してきた。
アル:これをあと三回もやるんですか?
カーボン:そうだな
アル:そんなー(´・ω・`)
こうして俺たちは新大陸への準備を粛々と始めることになった……のだが、あまりにも面倒くさいとアルはプリミアへ帰還後落ちてしまった。俺も少ない睡眠を確保するために放置してベッドに飛び込むのだった。
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