水先案内人
アル:nihonngogautenai
カーボン:ネトゲの最中にIMEの設定を変えるんじゃねえよ!
アルのPCにはMicrosoftIMEとGoogleIMEとATOKのキメラ構成なのを知っている、当然プレイ中にIMEが切り替わればこんな事になるだろう。
カーボン:落ち着いてWidnwosキーとDを押せ、それからタスクバーのIMEをいつものに戻せ
アル:yattemiru
しばしのログアウトの後、アルが戻ってきた。
アル:ふぅ……ATOK以外のIMEは滅ぶべきですね
カーボン:Microsoftも新説でプリインストールしてるんだから言ってやるな
しかし、古のインターネットを見た気がした、かつてはああして突然ローマ字で会話を始めるやつが一人くらいは居たものだ、もっとも随分とOSが賢くなってから見なくなって久しいのだが……
アル:まったく、MSーIMEには手を焼きますね、アンインストールも出来ないですし……
カーボン:デフォルト設定から変更できるようなキーバインドを解除しておいた方がいいぞ、あとGoogleIMEは消したら?
それにはしっかりと日本語で返答が返ってくる。
アル:「しらゆきひめとしちにんのこびと」ですら変換できないATOKにも問題はある
カーボン:ネトゲ上だと大抵問題のある言葉はフィルタリングされるから良いじゃないか?
制作者の正義感はさておき、普通に使う言葉でも変換できないのは少し不便だが、ネトゲ用と割り切ればそういう言葉は自動で伏せ字になるので問題無いと言えば無い。
アル:言論弾圧は決して許されるものではないですよ!
カーボン:そろそろ運営に怒られそうだから黙ろうな?
アル:ふぅ……今日は何のクエストをこなしますか?
カーボン:ああ……それなぁ……
アル:げ……その反応はまた討伐クエストですか?
カーボン:いや、違うんだよ、違うんだけどな……
ある意味で強さが意味をなさないクエストほど面倒なものは無い。
カーボン:誘導クエストだ
アル:ゆうどうくえすと?
カーボン:そう、一般のNPCを指定地点まで誘導する、当然モンスターは誘導対象を狙ってくる
アル:マジですか……クッソ面倒くさい予感しかしないんですが……
カーボン:ちなみに誘導対象のHPはこの地域のモンスターと変わらないレベルな
アル:はああああああああああああああ!!!!!!!!????????? なんですかそのクソ仕様!
ムカつくのは分かるがちょっと落ち着いて欲しい。
カーボン:今回のクエストは共生派のゴブリンを安全地帯まで案内するって内容だ
アル:ゴブリンなんて皆殺しにしても問題無いくらいの武力を私たちは持っていると思うんですけど?
カーボン:ちなみに属性はモンスターと一緒だから範囲攻撃を打つと巻き添えで死ぬからな
アル:ふぁあああああああああああ!? なんですかそのクソクエスト! 到底許されませんよ!
カーボン:こういうクエストだから俺がこなしてこなかったんだよ、わかるだろ?
俺は面倒なことはしない主義なので今日やる必要の無いことを今日しない人間だ、そんなわけで残っているクエストと言えば面倒なものがメインになってくる。
アル:お兄ちゃんこういう面倒なクエストを残しておくのはやめてくれませんかねえ!
カーボン:拡張パックでもこういうクエストは実装されてるぞ? ちなみにこういうクエストをやらされるのはギルドでも下位の人間が多い
アル:人間社会の闇を見た気がします……
そうして俺たちは砂漠の指定ポイントにたどり着いた。
カーボン:このへんに依頼したNPCがいるはずなんだが……
アル:あそこにマーカーついてるのがいますね
俺たちはそこへ向けて歩いていく、貧相なグラフィックのゴブリンが一体そこにいた。
トトサン:ニンゲンハトモダチ、マチマデアンナイシテクレル
アル:いくら人間に友好的って設定でもゴブリンを助けてやる義理はないと思うのですが
カーボン:そう言ってやるな、一応プリミアはモンスター融和派が多いって設定なんだよ
アルは呆れたモーションをとってから渋々トトサンと名乗るゴブリンを連れて歩く。
そうして少し歩いているとモンスターが出てきた。
アル:ちょっとお兄ちゃん! なんでこのゴブリンに真っ先にタゲが飛ぶんですか!? 私が挑発してないとこのゴブリン死んでますよ!?
カーボン:だからこのクエスト嫌なんだよなあ……一番レベルの低い相手を狙ってくるんだよ、だから俺もヒール入れておくな
俺がゴブリン相手にヒールを入れる、しかし今回の敵は少し頭がいいらしくゴブリンからはずれることは無かった。
カーボン:何で俺にタゲが来ないんだよ! 数だけは多いザコがわざわざこのゴブリンを狙って来やがる!
アル:あーもう! 挑発打つのでお兄ちゃんは回復だけやっててください!
クソが! なんでわざわざ一番弱いやつを狙うんだよ! スポーツマンシップってものがモンスターには無いのか? 無いわな……
即瀕死になるトトサンに必死にヒールをかける、普通は全快になってしばらく耐えられるはずなのだが、いかんせん最大HPそのものが低いので俺のINTでヒールをかけても限界が低いのでどうしようも無い。
ヒール ヒール ヒール
連発しても一発受けるたびに三分の一くらいを持って行かれるこのポンコツゴブリンがもし敵だったらどんなに楽だろうかと考えながら回復をする。
アル:お兄ちゃん! 一匹撃ち漏らしました! 倒しておいてください!
ファイアーボール
カーボン:初級攻撃魔法で沈むのはいいがどうにも数が多すぎる、挑発たきながら俺がヒールを続けてゴリ押しで突破するぞ!
アル:確かにその方が手っ取り早そうですね!
俺はヒールを打ちながらひたすら前へ前へと進んでいった、ようやくゴブリンの定住できる村が見えてきたところで範囲攻撃が飛んでくる。
カーボン:クソが! 範囲攻撃は面倒くさいからやめろっての! つーか何でこのゴブリンも躱さないんだよ! 所詮はデミだな!
アル:そいつに構うより周囲一帯に殲滅魔法使ってください! 数が多いです!
カーボン:しょうがねえなあ!
ジャッジメント・レイ
光の束が空から降り注ぎモンスター達を焼き尽くす。
アル:ようやく村に着きましたね……
カーボン:疲れた……初心者でももうちょいマシなムーブするぞ
とまあなんとか無事クエストを終えた俺たちだったが、報酬が安く値切られていたのでNPCに向けて必死に攻撃スキルを打ち込むアルがいたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます